1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

−No.3 Believe In 信念

No.3-032 Believe In (章末)

「あー撮影だけは、どうも苦手だ」 ぐったりしているマークを見て、タナベさんがクスッと笑う。 「紙面でしか君達に会われへん、たくさんのファンのために頑張らな!」 「でもインタビューって、どこも同じ様なこと聞かれるし……」 そう溜め息を漏らすヤスの…

No.3-031 Believe In

feat. Howard Jones 「ジェム、有難いけどそれは――」 マークの言葉を遮り話を続けた。 「君の言いたいことは分かる。僕等だって、この先どうなるかなんて分からない。このバンドが成功する保証なんて無いんだ。でも約束する、僕等は The Starlight Night を …

No.3-030 Believe In

「ポールに相談した結果、この中でオレ達に相応しいと思うのはノーマンレーベルだ。なんたって母体のノーマン・ミュージック・レコードは、アメリカが本社の巨大なレコード会社だしな。ただ、契約金が他所に比べるとイマイチで――」 「君達が私をマネージャー…

No.3-029 Believe In

pick out: Yes 「取り敢えず、シーケンサーという手はあるけど……」と僕。 「でも機械の音なんてな……」とトニィ。 「変わりの奴を探さ――」とヤスが言い終わらないうちにフレッドがテーブルを揺らした。 「そんなこと、できないよ! 僕は絶対認めない。マーク…

No.3-028 Believe In

するとウォルターが気付いたように、まくし立てた。 「そういえばジェム、君も彼女はいないのかい? ちょっと小耳に挟んだけど、界隈で有名なグルーピーの娘としけこんだらしいって、ここの常連のリズ達が憤慨してたぞ⁉︎ 遊びが過ぎると誠実なファンを逃すか…

No.3-027 Believe In

そしてマークはいつものように戯けて見せた。 「ふだん口煩い姉貴がさ、だまーってんのがスゲェ怖かったけど、でもライキーに出るのはOKもらったから。オレのラストステージ、成功させてくれるよな⁉︎」 「もちろんだよ!」皆んな口々に声を上げた。 バンド…

No.3-026 Believe In

「オレの親父、小型船を扱う小さい会社の社長なんだ。社長ったって、ただの飲んだくれジジイだけどな。 オレも海は嫌いじゃないけど優秀でしっかり者の姉貴や病弱で年の離れた弟に比べるとオレは出来損ないでさ、親父の後を継ぐなんて微塵も思わず遊んでばか…

No.3-025 Believe In

「うわっ、何だよ⁉︎」驚き慌てるマーク。 トニィがマークの背中から両腕を押さえると僕は彼のTシャツの左側の袖を勢いよく肩まで捲った。 「タトゥーあった!」歓声を上げるメンバー。 マークの左腕には、彼の大好きなダークヒーローのシンボル、コウモリが…

No.3-024 Believe In

feat. Def Leppard 「マークだ!」叫ぶフレッド。 そこには、金髪ロングヘアでトレードマークのサングラスをしている今の姿からは想像も付かない派手な恰好をした16歳のマークがいた。 しかも袖を引き裂いたTシャツから覗く左腕に見えるのはタトゥー?そん…

No.3-023 Believe In

すかさずマークは、ポケットからデモテープを取り出した。スティーブンも驚いたようだ。 「これは用意がいいな。早速、聴かせてもらうよ」 そして遠くから彼等に声が掛かると 「じゃあライキーでのライブ、頼んだよ。詳しい話はマネージャーにさせるから」 …

No.3-022 Believe In

レジュームとは、最近ロンドンで話題になり始めたロックバンドだ。 「ゴシップ誌で読んだことある。今でこそ人気のレジュームだけど、以前サイドトークと契約して酷い目にあったって」 ヤス、ゴシップ誌なんて読むの⁉︎(ユミコの資料らしい) ポールが、真剣…

No.3-021 Believe In

そういうのに疎い僕は「ポール・エドソンのライブは最高!」なんてことを口にしながらポールが来てくれるのを待ち侘びるばかりだった。 やっと姿を現したポールだけどあちこちの関係者に挨拶して回っている。 ポールはマネージャーから何やら耳打ちされると不…

No.3-020 Believe In

pick out: Sting マークの合図でステージに立つと皆んな無我夢中で演奏した。まばらだった歓声がだんだん津波のように押し寄せてきてあっと言う間の15分だった―― 「終わったー!」 ステージを降りて興奮冷めやらぬまま楽屋に向かって歩き出した。すると 「君…

No.3-019 Believe In

ユミコは軽く頷き 「やっぱり、イギリスに戻ってきて正解ね。日本だと足並み揃えないと厳しいけど……」 とテーブルに置かれた書類の山を揃えながら話を続けた。 「今、日本は経済的に過度期にあるみたい。仕事も原稿料も、どんどん増えてるの。お父さんが遺し…

No.3-018 Believe In

帰り道、ずっと黙り込んでいたヤスが意を決したように口を開いた。 「ジェム、頼みがあるんだけど」 僕とフレッドはその足で岡部家に向かった。 「あら、2人とも久し振りね?」 笑顔のユミコが、出迎えてくれた。 ユミコの淹れてくれたお茶で喉を潤すと、Cl…

No.3-017 Believe In

feat. Pet Shop Boys 「よーし、気合い入れてこうぜ! Club1000 で成功すれば、レコード会社の目に止まる、千載一遇のチャンスだ!」 マークの掛け声で皆んな張り切って準備を進めた。 そして熟考を重ねたセットリストに合わせ一通り演奏し終わると 「そろそ…

No.3-016 Believe In

するとライリーから「空いている時間なら構わねーぞ」とスタジオ使用の了承を得たんだ。 マークの社交性の高さには、脱帽だよ! さっそく、僕とマークとトニィでデモテープ作りに取りかかり休日にはフレッドとヤスを呼んで完成を目指した。 デモテープが完成…

No.3-015 Believe In

ちょっとしたフレーズや小曲なら僕も今までいくつか作ってきたけどちゃんとした作曲となると経験があるのは、マークだけだった。 なので、開店前のセント・ブライアンズに集まりマークに色々教わりながら何とか形にしていった。 問題は〝詩〟 ここで、またも…

No.3-014 Believe In

feat. Echo & The Bunnymen 少なくとも、昨日マークに追い立てられなければ鍵を閉め忘れることもなく今ここで、トニィに会うことは無かっただろう。 「じゃあバンド名は、スターライト・ルームにする?」と僕。 しかし、ヤスが少し考えてから口を開いた。 「…

No.3-013 Believe In

「君達、ドラマーいらないか? 昨日ずっと見てたんだけど、途中でベースの奴が入ってきただろ? オレだってドラムがあったら、飛び入り参加したのに!」 彼は悔しそうに拳を振って話を続けた。 「君達が此処から出て来たときに声を掛けようとしたんだけど、…

No.3-012 Believe In

そういえば、昨日慌ててマークに付いて行ったから門の鍵を閉め忘れていたこと、今頃になって気が付いた。 僕等が端の方から恐る恐る様子をうかがってみると男は荷物をほどき何かを組み立て始めた。 あれは……練習用のドラムパッド⁉︎ 空が橙色に染まる静寂の中…

No.3-011 Believe In

feat. The Smiths 「ジェム、落ち着きなよ⁉︎ 物に当たるのは良くない!」慌てるフレッド。ヤスも呆れている。 「僕は落ち着いてるよ⁉︎ 君らに八つ当たらないだけ、十分落ち着いてるっ!」 するとフレッドは大きく溜め息を吐いた。 「ねえジェム、いい加減あ…

No.3-010 Believe In

「駄目だと言っても、君達はやるだろう? ただ、まだ未成年なんだから、勉強に差し支えない程度にしておきなさい」 「僕は成人[18歳]している」 と言おうとしたらフレッドが制して笑顔で応えた。 「ありがとうございます!」 仕方なく僕も小声で「どうも」…

No.3-009 Believe In

僕等は昨夜のステージの余韻が残るままバンド名やステージ映えする曲のアイディアを出し合っていたんだ。(至って健全でしょ?) 気付けば時計の針はもうすぐ20時になろうとしていた。 「お腹空いちゃったね? 何か作るよ」 フレッドが立ち上がり、僕とヤス…

No.3-008 Believe In

「僕、キーボードなら、少しできるけど?」 フレッドが手を挙げた。えっ⁉︎ 「ダッドと住んでた頃に演ってたバンドの、キーボードだった友達に教わって……あんまり上手くないけどね」 照れ臭そうに答えるフレッド。キーボード? バンド?そんなこと、初耳だよ…

No.3-007 Believe In

「あのガーデンで演ってたのと、同じでいいんだ。大丈夫、初めは誰だって初心者だ!」 ウォルターがドラムのスティックでカウントを取るとマークのベースがルートを刻みフレッドのギターとヤスのサックスで、イントロが始まる。 そして、わずかに震えた僕の…

No.3-006 Believe In

feat. Kate Bush 僕等はマークに引っ張られステージの正面を陣取った。 先ず、パンクっぽいバンドの演奏からスタート。シンプルながらも激しいビートで掴みはOKだ。 次は女性ヴォーカル。幼げなルックスの割に独自の世界観で歌い上げる様は〝ケイト・ブッシ…

No.3-005 Believe In

マークに付いて行った僕等は気付けばシティを越えてイースト・エンド地区に入っていた。 この辺はロンドンでも1、2位の危険地域なんだ。 不安げな僕等をマークは気にもせず先日行われた〝ライブ・エイド〟について熱く語ってる間に着いた所はセント・ブライ…

No.3-004 Believe In

「お前ら最高じゃん!」マークも僕等に、拍手を向けた。 僕もフレッドもヤスもこんなノリのある興奮は初めてだった。(やっぱり、生のベース音は最高!) 「勝手に参加して悪かったな。でも久し振りだ、こんな明るいプレイができたのは」 彼はサングラスを外…

No.3-003 Believe In

feat. Haircut 100 フレッドとヤスが、プログラミングに夢中でディスカッションしてる間に僕は中古自動車のカタログと睨めっこ。 去年免許を取得※してたまに、ミスターの車を借りるんだけど高級車なんて気が引けるしオッサンぽいもんね?※イギリスの免許取得…