1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.3-021 Believe In

そういうのに疎い僕は
「ポール・エドソンのライブは最高!」
なんてことを口にしながら
ポールが来てくれるのを
待ち侘びるばかりだった。

やっと姿を現したポールだけど
あちこちの関係者に
挨拶して回っている。

ポールはマネージャーから
何やら耳打ちされると
不安げな僕等に気付いたようで
人の波をかき分け、来てくれた。

「やあ、楽しんでるかい?」

彼の笑顔を見て
皆んな、ようやっと安堵した。

「そうそう、君達にお願いがあるんだ。来月はライキーでプレイするんだけど、君達にその前座を勤めてもらいたいんだが、どうだろう? もう一組、前座を増やしたいと思ってたところなんだ」

Club1000 より、更に大きな
ライブ会場での要請に
まるで夢を見ている気分だった。

そんな僕等の前に、一人の男が
慌てて飛び出してきた。

「君達、凄いじゃないか! スターライトっていったっけ? 是非、我がサイドトーク・レーベルの話を聞いてもらいたい。もちろん契約についてだ」

「け、契約だってさ!」

僕等の顔が、一様に紅潮する。

だけどマークが、その男に
何か言おうとした瞬間、
マークの肩を押さえたポールが
口を挟んだ。

「すまないが、彼等は私がこれと見込んだ有望株でね。どこぞの三流レーベルと、そう簡単に契約を交わすわけにはいかないな」

それを聞いた男は、ケッと舌打ちし
逃げるように去って行った。

「すみません、ありがとうございます」

「君はサイドトーク・レーベルのことを知ってるんだね? よく気を付けたほうがいい」

ポカンと口を開けて
2人のやり取りを見ていたメンバーに
マークは念を押した。

「つまり、闇雲に契約を交わせばいいってもんじゃ無いってこと!」

「もしかしてサイドトークって、レジュームってバンドで噂になった……?」

「そう、ヤスは知ってたみたいだな」

始めから読む(No.3-001)

 

 ライキーのモデルは2つ。 『ライシアム・シアター』は1800年代からオペラ等の上演を始めた、バルコニーもあるクラシカルなホール。1960〜80年代はロックライブも行われ、その後ミュージカル劇場に。
 『マーキー・クラブ®』はジャズクラブとしてスタート。60年代は「スウィンギング・ロンドン」の代名詞としてミュージシャンの登竜門となり、今ではビッグネームになったバンドが多数出演。
 先述の『100 club』もですが、老朽化や経営難を乗り越え、現在も運営されているって素晴らしいですね!