1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.3-028 Believe In

するとウォルターが
気付いたように、まくし立てた。

「そういえばジェム、君も彼女はいないのかい? ちょっと小耳に挟んだけど、界隈で有名なグルーピーの娘としけこんだらしいって、ここの常連のリズ達が憤慨してたぞ⁉︎ 遊びが過ぎると誠実なファンを逃すから、気をつけた方がいい」

僕は慌てて、その場を誤魔化し
店を後にした。

確かに、あのセクシーな子に
押されるがまま
そうなっちゃったことが
あったんだけど、マークには
「シロウトが手を出す相手じゃねーよ」って、呆れられるし
ヤスには「趣味悪っ」って、ケーベツの視線を向けられ
フレッドも怒っちゃって、暫くの間
口を利いてもらえなかったから
トニィが庇ってくれて助かったんだ!

もう、じゅうぶん懲りたので
今後ファンには手を出さないって
誓うよ、うん……

◇ ◇ ◇

ライブ当日、ライキーは
ポール・エドソンの人気を
証明するように
大勢の人々で埋まっていた。
もうすぐ開演、僕等の出番だ。

「よし、皆んな行こうぜ!」

いつもと変わりないマークの掛け声で
ステージに上がる。

〝1、2、3、4〟

トニィのスティックのカウントが鳴り
マークのベースとフレッドのギター
ヤスのサックスのイントロが流れ、
そして僕の歌声が
ホール中に響き渡った。

ラスト・ステージとはいえ
マークに気負いは感じられない。
伸びやかに自然体で
ステージを味わっているのが分かる。

逆に言えば、マークは今まで
皆んなの緊張をほぐし、
自信を持てるようにと
引っ張ってくれていたんだ。

そのことに気付いた僕は
改めて、彼の存在の大きさを
感じていた――

 

 

演奏を終えた僕等は
いつもなら高いテンションのまま
ステージの余韻に浸るのに
今日は誰一人、はしゃぐことなく
静かに楽屋に戻った。
Club1000 の時と違い
専用の楽屋があるのは有難い。

ポールのマネージャーに呼ばれて
マークが代表で出て行くと
残ったメンバーは
自然と集まっていた。

「これからベースを、どうするかだね……」
フレッドが口火を切った。

始めから読む(No.3-001)

 

 有名どころでプレイして其れなりに評判良ければ、青田買い的なファンができそうですよね? 追っかけやグルーピーといえば、映画『あの頃ペニーレインと』。若干15歳で音楽雑誌『ローリング・ストーン』の記者になった監督の、半自伝的な物語。優等生な少年がロックとペニーレインに出会い大人になっていく様を、70年代のロックにのせて綴った青春物語――甘酸っぺぇ(≧∇≦)
 もう自分はジェム達の親世代になってしまった故、グルーピーやドラッグ(5章に記述)の魔の手から、愛する息子達を守るためのエピソードには、抜かり無し!w