「君達、ドラマーいらないか? 昨日ずっと見てたんだけど、途中でベースの奴が入ってきただろ? オレだってドラムがあったら、飛び入り参加したのに!」
彼は悔しそうに拳を振って
話を続けた。
「君達が此処から出て来たときに声を掛けようとしたんだけど、あっという間に行っちゃっただろ? ずっと気になってて……で、来てみた」
「だからって、何もこんな時間に来なくても」
呆気にとられる僕等を見て
彼は恥ずかしそうに説明した。
「実はフラット・メイトに追い出されたんだ、打音がうるさいって。でもなんだか無性に叩きたくて、此処なら大丈夫かな〜なんて」
そして、頭を掻きつつ
自己紹介。
「オレはトニィ・ダスティ。先月LAのハイ・スクールを卒業して、ロンドンの音楽学校に留学に来たんだ」
「トニィ・ダスティだって?」
突然、後ろから声がして
「マーク? どうして⁉︎」
僕等は一斉に振り向き驚く。
「モニカ……GFの家、この近くなんだ。なんか彼女がヒステリーで、引き上げて来た。そこ、駅への近道」
親指を通りに向けると
マークはトニィに向き直った。
「あんた、この前アラジンってバンドのオーディション受けたろ⁉︎ セント・ブライアンズのマスターから聞いてない? オレがマーク・テイラー、よろしく!」
「えっ、じゃあ紹介したいバンドって――」
2人は笑顔で
握手を交わした。
こうして、メンバーが勢揃いしたんだ!
気付けば日も陰り
短い夏の夜が、始まろうとしていた。
薄い夕闇から覗く月明かりが
僕等を覆い出す。
「なんか……不思議だね?」
フレッドが呟いて続けた。
「だってさ、このスターライト・ルームで、偶然にもメンバーが揃うなんて……出会いは、スターライト・ルームってことだよね? 運命的なモノを感じるな――」
皆んな一様に頷いた。
でも運命の出逢い感は大事!ってことで、無理くりメンバーを集合させました(笑)5人も描くの、面倒臭いんですけどね( ̄▽ ̄;)