「あのガーデンで演ってたのと、同じでいいんだ。大丈夫、初めは誰だって初心者だ!」
ウォルターがドラムのスティックで
カウントを取ると
マークのベースがルートを刻み
フレッドのギターと
ヤスのサックスで、イントロが始まる。
そして、わずかに震えた僕の声が
マイクを通して、会場中に響き渡った。
気付けばパーカッションやホーン、
コーラスの女性陣までステージに上がり
会場中が踊り出した。
無我夢中で演奏し終わると
僕等は客席から、拍手喝采を浴びた。
ステージを降りると
マークが笑顔で肩を叩いてきた。
「あの反応、聞こえるだろ?」
放心状態の僕等を見て
マークはケラケラ笑い出した。
「おいおい、大丈夫かよ?」
「いいね君達! 今日が初ステージとは思えない。度胸もあるし、マークとの息もバッチリだった。これは結構イケるんじゃないか?」
ウォルターが、マークにウィンクする。
「だろ? テクニックだけじゃない、オレに負けず劣らずなイケメン揃いで――あっ、これマジ重要な⁉︎ 可能性は無限さっ」
そう言って、マークは得意気に
勢い良く振り向いた。
「だから、オレ達でバンド組もうぜ⁉︎」
この彼の提案に
僕等は二つ返事で OKした。
マークが現れなかったら
今の僕等、The Starlight Night は
生まれなかったんだ!
テンションが上がった僕等は
スタッフ・ルームに集まった。
「先ずはバンド名だな。何かアイディアある?」
咥え煙草のマークが
紙とペンを取り出して続けた。
「ジェムがヴォーカル、フレッドがギターでヤスがサックスか。オレもウォルターのお陰で楽器は一通りできるけど、やっぱベースだよな〜ってなるとドラム探さないと、できればキーボードも――」