「ジェム、ありがたいけど、それは――」
マークの言葉を遮り、
僕は一歩前に進んだ。
「君の言いたいことはわかる。僕等だって、この先どうなるかなんてわからない。このバンドが成功する保証なんてないんだ。でも約束する、僕等は The Starlight Night を No.1 にして見せる」
トニィ、フレッド、ヤスも
深く頷いている。
動揺するマークに
さらに強く、言葉を重ねた。
「だから君も約束して欲しい。絶対に、また僕等の元に戻ってくると――」
「そうだよ、音楽の道を諦めちゃ駄目だよ!」
とフレッドが声を上げた。
「ベースはその時々で、サポート・ミュージシャンに頼めばいいんだから」
とトニィも加わる。
「まったく、お前ら……」
マークは背を向け、
深い溜め息を漏らした。
すると突然、ヤスが静かに
歌い出したんだ。
〜♫ 少し時間は、かかるかも 孤独な道、上り坂 成功しても失敗しても変わらない ♫〜
マークが振り返ると
トニィとフレッドも、ヤスに続いた。
〜♫ 君は怖いと感じてる? 僕もだよ でも僕は立ち止まったり、たじろいだりはしない 僕たちがすべてを捨ててしまっても 物事は良くなるしかないんだ ♫〜
そして、マークと僕も加わり
全員で大合唱!
そこには、たった一年だけど
確実に結ばれていた、
僕等の固い絆があった――
★ ★ ★
「はい、どうもお疲れ様でした」
インタビュアーのタナベさんが
テープレコーダーを止めると、
カメラマンや日本のスタッフ達が
お辞儀をして、取材は終了した。
ハワード・ジョーンズのご登場です!\(^o^)/ このチャカチャカしたサウンド、キャッチーなメロディー、ツンツンヘア、正しく The 80年代! (笑) 歌詞も恋愛ばかりじゃなく、この『オンリー・ゲット・ベター』や『ニュー・ソング』(1983)『ライフ・イン・ワン・デイ(一日の生命)』(1985) のように、悩める人々への応援歌だったりするんですよね。
Howard Jones - Things Can Only Get Better
他にも『ホワット・イズ・ラヴ?』(1983)『君を知りたくて』(1984)、フィル・コリンズとの再録音で叙情的に仕上がった『悲しき願い』(1986) などヒット曲を連発してて、あのバンド全盛時代に一人でやってたのは凄い!