1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲 (YouTubeリスト参照) が登場します。イメージ・イラストも掲載中!

No.3-021 Believe In

そういうのに疎い僕は「ポール・エドソンのライブは最高!」なんてことを口にしながらポールが来てくれるのを待ち侘びるばかりだった。 やっと姿を現したポールだけどあちこちの関係者に挨拶して回っている。 ポールはマネージャーから何やら耳打ちされると不…

No.3-020 Believe In

マークの合図でステージに立つと皆んな無我夢中で演奏した。まばらだった歓声がだんだん津波のように押し寄せてきてあっと言う間の20分だった―― 「終わったー!」 ステージを降りて興奮冷めやらぬまま楽屋に向かって歩き出した。すると 「君達のステージ、な…

No.3-019 Believe In

ユミコは軽く頷き 「やっぱり、イギリスに戻ってきて正解ね。日本だと足並み揃えないと厳しいけど……」 とテーブルに置かれた書類の山を揃えながら話を続けた。 「今、日本は経済的に過度期にあるみたい。仕事も原稿料も、どんどん増えてるの。お父さんが遺し…

No.3-018 Believe In

帰り道、ずっと黙り込んでいたヤスが意を決したように口を開いた。 「ジェム、頼みがあるんだけど」 僕とフレッドはその足で岡部家に向かった。 「あら、2人とも久し振りね?」 笑顔のユミコが、出迎えてくれた。 ユミコの淹れてくれたお茶で喉を潤すと、Cl…

No.3-017 Believe In

feat. Pet Shop Boys - West End Girls 「よーし、気合い入れてこうぜ! Club1000 で成功すれば、レコード会社の目に止まる、千載一遇のチャンスだ!」 マークの掛け声で皆んな張り切って準備を進めた。 そして熟考を重ねたセットリストに合わせ一通り演奏し…

新しい年へ、セイル・アウェイ!

物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第5弾〕 明けましておめでとうございます 去年の今頃は物語を完成させて ブログにしてみようと 試行錯誤していたかと思うと ほんと一年なんて、アッという間です! すっかりブログにも慣れたところで …

No.3-016 Believe In

するとライリーから「空いている時間なら構わねーぞ」とスタジオ使用の了承を得たんだ。 マークの社交性の高さには、脱帽だよ! さっそく、僕とマークとトニィでデモテープ作りに取りかかり休日にはフレッドとヤスを呼んで完成を目指した。 デモテープが完成…

No.3-015 Believe In

ちょっとしたフレーズや小曲なら僕も今までいくつか作ってきたけどちゃんとした作曲となると経験があるのは、マークだけだった。 なので、開店前のセント・ブライアンズに集まりマークに色々教わりながら何とか形にしていった。 問題は〝詩〟 ここで、またも…

No.3-014 Believe In

feat. Echo & The Bunnymen - The Killing Moon 少なくとも、昨日マークに追い立てられなければ鍵を閉め忘れることもなく今ここで、トニィに会うことは無かっただろう。 「じゃあバンド名は、スターライト・ルームにする?」と僕。 しかし、ヤスが少し考えて…

No.3-013 Believe In

「君達、ドラマーいらないか? 昨日ずっと見てたんだけど、途中でベースの奴が入ってきただろ? オレだってドラムがあったら、飛び入り参加したのに!」 彼は悔しそうに拳を振って話を続けた。 「君達が此処から出て来たときに声を掛けようとしたんだけど、…

No.3-012 Believe In

そういえば、昨日慌ててマークに付いて行ったから門の鍵を閉め忘れていたこと、今頃になって気が付いた。 僕等が端の方から恐る恐る様子を伺ってみると男は荷物をほどき何かを組み立て始めた。 あれは……練習用のドラムパッド⁉︎ 空が橙色に染まる静寂の中ステ…

No.3-011 Believe In

feat. The Smiths - This Charming Man 「ジェム、落ち着きなよ⁉︎ 物に当たるのは良くない!」慌てるフレッド。ヤスも呆れている。 「僕は落ち着いてるよ⁉︎ 君らに八つ当たらないだけ、十分落ち着いてるっ!」 そんな僕にフレッドは溜め息を吐いた。 「ねえ…

No.3-010 Believe In

「駄目だと言っても、君達はやるだろう? ただ、まだ未成年なんだから、勉強に差し支えない程度にしておきなさい」 「僕は成人[18歳]している」 と言おうとしたらフレッドが制して笑顔で応えた。 「ありがとうございます!」 仕方なく僕も小声で「どうも」…

No.3-009 Believe In

僕等は昨夜のステージの余韻が残るままバンド名やステージ映えする曲のアイディアを出し合っていたんだ。(至って健全でしょ?) 気付けば時計の針はもうすぐ20時になろうとしていた。 「お腹空いちゃったね? 何か作るよ」 フレッドが立ち上がり、僕とヤス…

No.3-008 Believe In

「僕、キーボードなら、少しできるけど?」 フレッドが手を挙げた。えっ⁉︎ 「ダッドと住んでた頃に演ってたバンドの、キーボードだった友達に教わって……あんまり上手くないけどね」 照れ臭そうに答えるフレッド。キーボード? バンド?そんなこと、初耳だよ…

No.3-007 Believe In

「あのガーデンで演ってたのと、同じでいいんだ。大丈夫、初めは誰だって初心者だ!」 ウォルターがドラムのスティックでカウントを取るとマークのベースがルートを刻みフレッドのギターとヤスのサックスで、イントロが始まる。 そして、わずかに震えた僕の…

No.3-006 Believe In

feat. Kate Bush 僕等はマークに引っ張られステージの正面を陣取った。 先ず、パンクっぽいバンドの演奏からスタート。シンプルながらも激しいビートで掴みはOKだ。 次は女性ヴォーカル。幼げなルックスの割に独自の世界観で歌い上げる様は〝ケイト・ブッシュ…

No.3-005 Believe In

マークに付いて行った僕等は気付けばシティを越えてイースト・エンド地区に入っていた。 この辺はロンドンでも1、2位の危険地域なんだ。 不安げな僕等をマークは気にもせず先日行われた〝ライブ・エイド〟について熱く語ってる間に着いた所はセント・ブライ…

No.3-004 Believe In

「お前ら最高じゃん!」マークも僕等に、拍手を向けた。 僕もフレッドもヤスもこんなノリのある興奮は初めてだった。(やっぱり、生のベース音は最高!) 「勝手に参加して悪かったな。でも久し振りだ、こんな明るいプレイができたのは」 彼はサングラスを外…

No.3-003 Believe In

feat. Haircut 100 - Favourite Shirts (Boy Meets Girl) フレッドとヤスが、プログラミングに夢中でディスカッションしてる間に僕は中古自動車のカタログと睨めっこ。 去年免許を取得※してたまに、ミスターの車を借りるんだけど高級車なんて気が引けるしオ…

No.3-002 Believe In

「ライブってさ、何度演っても緊張する。ライブがある日は、ベースに触ってないと落ち着かないんだ。オレ、こう見えてナイーブだから」 ナイーブかどうかは兎も角案の定だ。 「おーい、マーク! 午後から取材があるって聞いてるだろー?」 客席側から大声を…

No.3-001 Believe In

来日中の僕等はコンサートだけじゃなく、精力的にプロモーション[宣伝活動]も行っていた。 多数のカメラのフラッシュを浴びてると僕等は何しに来たんだろうって辟易するけど、仕方ないよね。 The Starlight Nightの音楽をたくさんの人々に知ってもらうため…

Do you Do you

物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第4弾〕 実家の物置は、80年代に集めていた 書籍や雑誌なんかの宝庫(笑) 何か資料になりそうなモノ あるかな〜? と物色していたら コピーした楽譜が 無造作に入った袋の中に ドーナツ盤が数枚 紛れ…

No.2-024 Mixd Feelings(章末)

「素直に『一口ください』って言いなよ?」 「一口くれー!」 テーブルを揺らすマークの前にラーメンを置くと彼の〝一口〟で一気に減ってしまい目が点になった。 「……美味しい?」 「Yum Yum !」 結局マークは、僕のラーメンを全部食べてしまったんだ。(既…

No.2-023 Mixd Feelings

周りを気にしなくなると皆んな彼を、遠巻きにするようになり一人でいても、なんてことはないと気付いたヤスは、ますます周囲に壁を築いていった。 そのことを、僕に指摘されるまで気にも留めなかったと言う。 フレッドが 「最初に挨拶したとき『邪魔、どいて…

No.2-022 Mixd Feelings

意を決したヤスは大きく深呼吸し僕等のギターにタイミングを合わせる。流れるサックスの音色。進めば進むほど奏でる音に、喜びがあふれ出す。 ひとしきり演奏が終わるとパラパラと拍手が聞こえてきた。 ガーデンの入り口から何人かのギャラリーが入って来て…

No.2-021 Mixd Feelings

「ジェム、連れてきたよー!」 10月のハーフターム[学期中の中休み]に入ると、僕等はスターライト・ルームに集まった。 サックスの入ったケースを抱えたフレッドの後ろに、ヤスがいる。 「おい、いい加減に返せよ⁉︎」ヤスは呆れ顔だ。 やっぱり、フレッドに…

No.2-020 Mixd Feelings

彼は一瞬、顔を引きつらせ思い切り吹き出したんだ。僕は途端に、恥ずかしくなった。 「――いらっしゃいませ、ヤスアキクン。何が可笑しい⁉︎」 「何ってなんだよ、その格好⁉︎」 ヤスは肩を震わせ笑ってるよ! 「何って、制服だけど!?」 「まさかジェムのバイト…

No.2-019 Mixd Feelings

feat. New Order - Blue Monday 階段から降りてきた僕を見てユミコは小さな悲鳴をあげた。そして直ぐ、車で病院に連れて行ってくれた。 僕の額は、2針ほど縫うことになりユミコは僕とステイシーに謝り続けた。 ユミコの横で項垂れるヤスは僕を見ようとはし…

No.2-018 Mixd Feelings

彼は誰の助けも、必要としない。彼は他人に、何も望んでいない。彼は決して、間違ってはいない。 勉強もスポーツも完璧で口を挟む隙もないヤスに誰も何も言えないんだ。 でも、まだ13歳の少年が完璧でいること自体が問題なのをなぜ、ユミコや先生や僕等が心…