1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場します。時々イメージ・イラストも掲載!

No.3-010 Believe In

「駄目だと言っても、君達はやるだろう? ただ、まだ未成年なんだから、勉強に差し支えない程度にしておきなさい」

「僕は成人[18歳]している」
と言おうとしたら
フレッドが制して笑顔で応えた。

「ありがとうございます!」

仕方なく僕も小声で「どうも」と言い
部屋を出ようとした。
すると

「ああ、それとジェームス」
ミスターが新聞を閉じた。

「9月からの学校が決まったようだが、ビジネスカレッジも検討しておきなさい。ギャップイヤーという手もある。そうすれば就職先の伝は、いくらでも用意できる」

※高校や大学の入学前から就職するまでの間を利用して、ボランティアやインターン、海外留学などを経験するための猶予期間

 

それって音楽関係じゃ
仕事は無いって意味かよ⁉︎
僕は憤慨して応えた。

「それは、ご親切にどうも! でも僕は失業保険を貰いに役所に並ぶんで、ご心配なく」

この国の若者の失業率は、依然
問題となっているのは確かだけど。

ステイシー は呆れたように
首を横に振った。

「失業⁉︎ やめてちょうだい! もう、どんなに教育にお金をかけても、あんたにギルの跡を継ぐ才が無いのは残念よ」

「それはどうかな」

ミスターは珍しく
口の端に笑みが零れていた。
意味が分からないよ⁉︎

「跡継ぎとかそういう話は、あなたの家出した一人娘にでもどうぞ!」

そう捨て台詞を吐いて
家を飛び出した。

「ジェム!」
フレッドとヤスも、追いかけて来た。

ミスターには離婚した前妻との間に
一人娘がいる。
僕より一つ年下で
男と出て行った不良娘と
その時は聞いていた。

「くっそ~むしゃくしゃしてきた! あいつらのせいで……ステイシーの奴、ダッドまで悪く言いやがって」

僕は道端のゴミを
思い切り蹴飛ばした。

始めから読む(No.3-001)

 

 イギリスの夏は、21時でも明るいサマータイム。日中は28℃でも夜になると15〜16℃って、半袖ではちょっと肌寒そう? そういうこと、35年前はすっかり抜け落ちて日本と同じ感覚で設定してしまい、地味に軌道修正することに。逆に「ムカつく」って言葉はまだ無かったのか⁉︎「むしゃくしゃ」と、当時の原文のまま残しましたw