するとライリーから
「空いている時間なら構わねーぞ」と
スタジオ使用の了承をもらったんだ。
マークの社交性の高さには、脱帽だよ!
さっそく、僕とマークとトニィで
デモテープ作りに取りかかり、
休日にはフレッドとヤスを呼んで
完成を目指した。
デモテープが完成した頃には、
マークが少しでも場慣れするようにと
他のライブハウスにも
出演するようになった。
こんな感じで僕等は
バンドが生活の中心となって、
月日が過ぎていった――
◆ ◆ ◆
バンドを結成して、もうすぐ一年。
マークに呼ばれた僕等は
セント・ブライアンズに集まっていた。
約束の時間に現れなかったマークは
1時間も遅れてやって来た。
僕等が怒るより前に
大声で叫びながらね。
「おーい、皆んな! すっげー話があるんだ! 落ち着いて聞けよ?」
「落ち着くのはお前だろ、何が凄いんだ?」
マークは息を切らしながら、
まさに〝凄い話〟を持ってきた。
「なんとオレ達、Club1000 で演奏できるんだ! 前座の一枠に、急なキャンセルが出た」
「まさか! 本当かマーク!?」
「オレ達のプレイを知ってる、ちょっとした知り合いが、関係者にコネがあるって言うから頼んでみた」
マークの話を、すぐには
信じられなかった。
Club1000 という
老舗のライブハウスは、
ミュージシャンを目指す者にとって
デビューへの登龍門なんだ。
前座だって、インディーズでも
有名バンドじゃなければ
とても出られない。
収容人数だって桁違いだ。
それなのに、まだまだ駆け出しの
僕等が――?
この話を聞いて
飛び上がって喜んだのがトニィ。
「やったね!」
とマークに抱きつくフレッド。
相変わらず、静かに微笑むヤス。
そして僕は――
ただ、ただ呆然としていた。
凄い、もちろん Club1000 に
出られるのは凄いけど
それ以上にマークが凄い!
いったいどこで、こんなツテを
手に入れてくるんだ?
しれっと一年経過しました (笑) ジェム19歳、トニィ18(19)歳、マーク17(18)歳、フレッド17歳、ヤス16歳です。若すぎない? って今は思っちゃうけど、アーティストの経歴見ると、既に10代で活躍してたりするんですよね。昔の人は大人っぽかった!
彼等が有名処でプレイできるのは、一年経って実力が付いたから……だけでは無いかも⁉︎ マークの〝ちょっとした知り合い〟って、どんな知り合いなんでしょうね?w