1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.5-010 Don't Be Scared

pick out: EastEnders

「僕は無実だ」
もう、説明する気も起きない。

「普段フラフラしてるから、こういう目に遭うのよ! 警察沙汰になるなんて――」

ほら見ろ、息子が無実かどうかなんて
どうでもいいんだ。
親の顔に泥を塗られたことに御立腹で
口角泡を飛ばしている。

「聞いてるのジェームス!? フレッドにまで怪我させて! Aレベル[大学入学資格試験]前の大事な時期でしょう⁉︎」

それに関しては
深く反省している。

「少し落ち着きなさい」

ステイシーをなだめるミスターに
疑問を投げた。

「2人とも、ニューヨークに居たはずじゃ?」

「ああ、深夜の便で帰って来た。フレッドから大体の話は聞いている。確かに君は無実だろうがそれが証明されるまで、どのぐらい時間を取られるか分からない。ここは一旦、罪を認めなさい。私が直ぐ保釈金を支払おう。彼は優秀な弁護士だし大丈夫だ、全て我々に任せなさい」


冗談じゃない!


ドラッグを売ったことなんて
一度だって無いのに
なぜ罪を認めなければならないんだ⁉︎
さっさと厄介払いしたい
魂胆だろうけど、
ミスターに仮を作るなんて御免だ!

僕は〈ピュー♩〉と口笛を吹いた。

「一度ブタ箱に入って見たかったんだよね、ハクが付くし⁉︎」

「なに馬鹿なこと言ってるの!」
怒鳴るステイシー 。
もう最悪だ。

ミスターは軽く溜め息を吐くと

「……ジェームス、明日また彼が連絡するから、一晩じっくり考えなさい。君なら何が最善の状態といえるのか、理解できるはずだ」

そう言い残し、
ステイシーと弁護士を連れて
去って行った。

こんな悔しい思いをするなんて!
心底、自分の運命を呪った。

◇ ◇ ◇

そして、釈放された僕の目の前には
懐かしい顔があった。

「よう、ジェム! ブタ箱の飯は旨かったか?」

トニィに連れられたマークが
変わらぬ笑顔で、出迎えてくれたんだ!

久し振りのマークに嬉しさの反面、
こんな情けない姿を知られて
顔から火が出る思いだった。

 

捜査の結果、あの男は捕らえられ
僕が彼の仲間ではないと分かり、
無事釈放されたんだ。

結局ジョージには面倒をかけてしまい
後日改めて、お詫びと感謝を伝えると

「むしろ君達のお陰で、セント・ブライアンズが救われて喜ばしいよ」
と笑ってくれた。

だけど下っ端ひとり捕まったところで、
ウォルターを地獄に突き落とした奴等は
闇の中であることに変わりない。

結果的に、セント・ブライアンズは
閉鎖されることとなった。
ゆくゆくは、あのエリアも
再開発の手が伸び
完全に消え失せてしまうだろう。

始めから読む(No.5-001)

 

 セント・ブライアンズのあるイースト・エンドはロンドン東部の総称。切り裂きジャックで有名な昔から物騒な辺りや、今では高層ビルが建ち並ぶカナリー・ワーフ等、けっこう範囲が広いなと地図を作ってみて把握。
 BBCで1985年から続く御長寿TVドラマ『イーストエンダーズ』も、このエリアの架空の街が舞台。下は放映当初のオープニングなので、まだ開発が進んでない頃かと(よく見えないどw)

EastEnders original theme tune and opening credits - BBC
 ジェムに前科が付かなくて良かったですが、勾留って結構おおごとでは・・・? サラッと書いて誤魔化したけど日本の刑事手続きも分かってないのに(ドラマも見ないw)80年代イギリスの訴追なんて何か間違ってるかも(汗) それこそ『イーストエンダーズ』が参考になりそうだけど、YouTubeで第1回目を見るも英語が分からず終了〜 (^^ゞ