pick out: EastEnders
「僕は無実だ」
もう、説明する気も起きない。
「普段フラフラしてるから、こういう目に遭うのよ! 警察沙汰になるなんて――」
ほら見ろ、息子が無実かどうかなんて
どうでもいいんだ。
親の顔に泥を塗られたことに御立腹で
口角泡を飛ばしている。
「聞いてるのジェームス!? フレッドにまで怪我させて! Aレベル[大学入学資格試験]前の大事な時期でしょう⁉︎」
それに関しては
深く反省している。
「少し落ち着きなさい」
ステイシーをなだめるミスターに
疑問を投げた。
「2人とも、ニューヨークに居たはずじゃ?」
「ああ、深夜の便で帰って来た。フレッドから大体の話は聞いている。確かに君は無実だろうがそれが証明されるまで、どのぐらい時間を取られるか分からない。ここは一旦、罪を認めなさい。私が直ぐ保釈金を支払おう。彼は優秀な弁護士だし大丈夫だ、全て我々に任せなさい」
冗談じゃない!
ドラッグを売ったことなんて
一度だって無いのに
なぜ罪を認めなければならないんだ⁉︎
さっさと厄介払いしたい
魂胆だろうけど、
ミスターに仮を作るなんて御免だ!
僕は〈ピュー♩〉と口笛を吹いた。
「一度ブタ箱に入って見たかったんだよね、ハクが付くし⁉︎」
「なに馬鹿なこと言ってるの!」
怒鳴るステイシー 。
もう最悪だ。
ミスターは軽く溜め息を吐くと
「……ジェームス、明日また彼が連絡するから、一晩じっくり考えなさい。君なら何が最善の状態といえるのか、理解できるはずだ」
そう言い残し、
ステイシーと弁護士を連れて
去って行った。
こんな悔しい思いをするなんて!
心底、自分の運命を呪った。
そして、釈放された僕の目の前には
懐かしい顔があった。
「よう、ジェム! ブタ箱の飯は旨かったか?」
トニィに連れられたマークが
変わらぬ笑顔で、出迎えてくれたんだ!
久し振りのマークに嬉しさの反面、
こんな情けない姿を知られて
顔から火が出る思いだった。
捜査の結果、あの男は捕らえられ
僕が彼の仲間ではないと分かり、
無事釈放されたんだ。
結局ジョージには面倒をかけてしまい
後日改めて、お詫びと感謝を伝えると
「むしろ君達のお陰で、セント・ブライアンズが救われて喜ばしいよ」
と笑ってくれた。
だけど下っ端ひとり捕まったところで、
ウォルターを地獄に突き落とした奴等は
闇の中であることに変わりない。
結果的に、セント・ブライアンズは
閉鎖されることとなった。
ゆくゆくは、あのエリアも
再開発の手が伸び
完全に消え失せてしまうだろう。
BBCで1985年から続く御長寿TVドラマ『イーストエンダーズ』も、このエリアの架空の街が舞台。下は放映当初のオープニングなので、まだ開発が進んでない頃かと(よく見えないどw)
EastEnders original theme tune and opening credits - BBC