1980s 洋楽★創作物語

Original Stories of 1980s Pops〜80年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s楽曲が登場!20年振りに描くイラストも一昔前風・・・( ˘ω˘ )

No.3-030 Believe In 僕らのマネージャー

「ポールに相談した結果、この中でオレ達に相応しいと思うのはノーマンレーベルだ。なんたって母体のノーマン・ミュージック・レコードは、アメリカ本社の巨大なレコード会社だしな。ただ、契約金がよそに比べるとイマイチで――」

「君たちが私をマネージャーとして雇ってくれたら、ノーマンレーベルの契約金を倍にしてあげよう」

そう言いながら
ドアを開けて入って来たのは
ポールの友人、スティーブンだった。

彼の言葉に、皆んな驚きを
隠せなかった。

 

スティーブンは若い頃、
ポールが在籍していた
世界的に有名なバンドで
サポート・ミュージシャンを務め
彼と共に世界中を飛び回り、
音楽業界についての深い知識と
経験を持つようになった。

ステージを離れてからは
ビジネスに転身すると
優秀な人材発掘能力を発揮して、
大手SWUレコードを
世界屈指の企業へと成長させたんだ。
その功績は、業界内外からも
敬意を集めていた。

そんな人物が、
僕等のマネージメントを
引き受けてくれるなんて!
もちろん、誰一人反対する者なんて
いなかった。

 

スティーブンはこの頃
これまでの経験を活かして、
オンリーワンのアーティストを
育てたいと考えていたそうだ。

その意図を
よく理解していたポールは、
彼の前座として才能ある若手を
ステージに上げて、協力していたんだ。

後から聞いた話だけど、
パーティーでの僕等の振る舞いも
ポールのマネージャーが
チェックしていたらしい。
つまり、バンドはポールのお墨付きで
スティーブンに認められたってこと!

 

「これで安心して、カナダに帰れる」
と笑顔を見せるマーク。

「Mr. マーシャル!」

僕はスティーブンに歩み寄った。

「契約の際、これだけは譲れない条件が、一つあるんです」

そして、ゆっくりと
視線をマークに移した。

「The Starlight Night のベーシストは、マーク・テイラー以外、有り得ないということ――」

始めから読む(No.3-001)

 

 優秀なマネージャー、スティーブンの経歴は、まんま a-ha の初代マネージャー。さすがに、そのままだと怒られたらイヤなので (汗) ポールが協力したくだりを入れました。歳をとるとね、後進を育てたくなるんですよ(´∀`)

 そんな2人の出会いは60年代半ば。スティーブンには60年代前半に流行ったモッズの雰囲気を残し、ポールは70年代サイケデリックの走りをイメージ(楽しい♩)おじさん達だって若い頃があったのです!