1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.3-017 Believe In

feat. Pet Shop Boys


「よーし、気合い入れてこうぜ! Club1000 で成功すれば、レコード会社の目に止まる、千載一遇のチャンスだ!」

マークの掛け声で
皆んな張り切って準備を進めた。

そして
熟考を重ねたセットリストに合わせ
一通り演奏し終わると

「そろそろ一息いれようか?」と
トニィがスナックを配り出した。

僕はそのスナックを手にしたまま
マークとフレッドが
曲間について
意見を戦わせているのを
ぼんやり眺めていると

「またやってるな、あの2人」
トニィは僕の手からスナックを奪い
それを頬張りながら、隣に腰を下ろした。

「マークにやり込められてる、弟が心配?」

「まさか、ただ――」

「――ただ?」

「ただマークが凄いと思って。こんな話、どこから持ってくるんだろう? 音楽業界のことも詳しいし、ウォルターの影響だけじゃ無いような気がするけど……」

考えてみると
出会ってから一年にもなるのに
彼に関して、知らないことばかりだ。

「オレもクリスマス・ホリデーでLAに帰る時、カナダの家族のことを聞いたんだけど、はぐらかされたよ。あいつは帰ってないはず」

トニィはスナックの空袋を
クシャッと丸め

「それ以来、プライベートなことは訊かないようにしている」
とコーラを一気に、飲み干した。

マークはいつも
おちゃらけてて楽しい奴だけど、
僕等メンバーは誰一人
彼のプライベートに
立ち入ることはできなかった。

もちろん皆んな、マークを信頼してるし
今さら過去を掘り起こすつもりもない。
だけど、サングラスに隠された
彼のブラウンの瞳が時々曇るのを
僕はだいぶ前から気付いていた。

そんな僕等がマークに関して
唯一、分かっていること
それは――


「じゃあ、お疲れちゃん」

「マーク、そっちは駅じゃないよ?」

「ああ今のGF、この近くに住んでるんだ。『West End Girls』には懲りた。じゃあな!」

Pet Shop Boys『West End Girls』Released:28 October 1985]

 

って、かなり女たらしだってこと!

始めから読む(No.3-001)

 

 ロンドンは金融地区のシティを中心に、西側はウエスト・エンドというハイソでお洒落なエリア。セント・ブライアンズのある東側は、イースト・エンドという下町で、貧困層と移民層が住む治安の悪いエリアでした。
 ペット・ショップ・ボーイズの『ウエスト・エンド・ガールズ』は、ハイソ女子達への皮肉が混じる、イギリスらしいお洒落サウンド。でもこのMV、歌っているニールより半分透けているクリスが、気になってしょうがないw
Music Video
Pet Shop Boys - West End Girls
 

 

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