1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.3-026 Believe In

「オレの親父、小型船を扱う
小さい会社の社長なんだ。
社長ったって、ただの
飲んだくれジジイだけどな。

オレも海は嫌いじゃないけど
優秀でしっかり者の姉貴や
病弱で年の離れた弟に比べると
オレは出来損ないでさ、
親父の後を継ぐなんて微塵も思わず
遊んでばかりいた悪ガキだ。

親父に反発しては殴られる、
そんな日々が続いていた頃
ウォルターがオレん
居候になった。

プロのミュージシャンを諦めた彼は
スタジオ経営に失敗して
奥さんにも逃げられて……

落ちこぼれ同士のオレ達は
直ぐに気が合い
オレはウォルターの影響で
音楽を始めたんだ」

 

ウォルターと音楽を演っていた時は
聞き分けが良かったと
マークは笑う。

 

「だけどウォルターは
『ずっと居候では、いられない』と
此処のオーナーに誘われるまま
ロンドンに行っちゃってさ

そしたら、もう誰も
オレの味方なんていないから
15で勝手に学校を辞めて家を出た。

思い付きでLAに行ってみると
気付いたら、このバンドに入ってた」

 

マークはブラッディ・レインの
アルバムを指した。

 

「でも一年もすると、そいつらと
演ってるのがバカバカしくなって――
聴いてみたか? 虚栄心の塊の
単純で退屈な音だろう?

オレはロンドンにいる
ウォルターに連絡してみた。
ウォルターはオレのこと
良く分かってるから
此処ロンドンに呼び寄せてくれたんだ。

家族にも連絡して庇ってくれて
凄く感謝している」

 

マークは顔を上げると
清々しい表情で、決心を口にした。

 

「オレ、カナダに帰るよ。
親父の会社を、姉貴一人に
任せるわけにいかねーし。
親父と弟の世話で
母さんにまで何かあったら
オレ一生後悔する。

なんで、このタイミングでって
正直悔しいけど
今までずっと好き勝手やってきた
報いなんだろうな、きっと」

 

僕等は何も言えずにいた。
こんなに真剣なマークを見るのは
初めてだ。

時々、マークの表情が曇るのは
家族に対する
負い目のせいかもしれない――

僕はそう、感じたんだ。

始めから読む(No.3-001)

 

 80年代の洋楽界隈、アメリカ、イギリスに次いで思い浮かぶのは、カナダ、オーストラリア、ドイツ、スウェーデンetc… マークはカナダな感じがして、カナダと言えば「バンクーバー=海」とした記憶が。とはいえ海の仕事、それに80年代当時の様子なんて分かってないのだけど、奇しくもUP日は3.11――
 あの日の荒ぶる海とは違い穏やかな波間に未来への思いを馳せる、少年マークの姿が思い浮かんだので、ちょっと描いてみたんですが……画力が無くて海はフリー素材 (ノ∀`)タハー