feat. Crowded House
そして、久々に5人揃ったバンドは
思い切り演奏を楽しんだ。
――ああ、これ、この音と一体感なんだ、求めていたのは!
メンバー全員が
それを噛み締めていると確信した。
許されるならマークには
本当に早く戻って来て欲しい。
「待ってるよ、マーク」
笑顔を見せる皆んなの姿が
強く胸に残った。
マークがウォルターを連れ
カナダへ帰国して数日後、
僕等はスティーブンのオフィスに
集まっていた。
「もちろんジェム、君が無実なのは分かっている。しかし知っての通り今ノーマンレーベルの内情は非常に厳しく、イメージダウンやスキャンダルになる事は極力避けたいと、非常にナーバスな状態だ」
しかもクビにした
プロデューサーのロバートも
ドラッグによる交通事故を
起こしてしまったそうだ。
「どうにも私達がしたことは、彼の自尊心を深く傷つけてしまったようで、残念なことだが……」
ロバートがアメリカで成功したと
言ったのは誰だっけ?
つくづくドラッグの恐ろしさを
実感した。
「私としても君達を、ベストな状態でデビューに持っていきたいんだ。ノーマンレーベルに、決して君達を埋もれさせたりはしないと約束させよう」
「分かりました。一年……ですね?」
覚悟を決めて席を立ち
スティーブンと握手を交わした。
「一年後、成長した僕等を見てください」
オフィスの外に出ると
僕は立ち止まって振り返り
改めて頭を下げた。
「本当に、ゴメン――!」
項垂れる僕に、3人は
温かい声をかけてくれた。
「兄ちゃんが悪いんじゃないよ、元気出して!」
「1年なんて、あっという間だ! やらなきゃならないことは山とある。そうだろヤス?」
「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー」
ヤスの一言に
僕等は一瞬、顔を見合わせ
そして笑顔で歌いながら
歩き出した。
〜♫ さあ今 さあ今 それが終わった事だと夢にも思わないで 世界がやってくる時 奴等はくる 僕達の間に壁を作るために ♫〜
実際この曲がリリースされた1986年は新しいバンドが次々とヒットして、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン終焉の年だとか。最後の花火?(泣) 実感としては1988年までは・・・と思うので、80年代後半の曲もたくさん登場させたいと思ってます!
Crowded House - Don't Dream It's Over