1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場します。時々イメージ・イラストも掲載!

No.3-006 Believe In

feat. Kate Bush

僕等はマークに引っ張られ
ステージの正面を陣取った。

先ず、パンクっぽいバンドの
演奏からスタート。
シンプルながらも激しいビートで
掴みはOKだ。

次は女性ヴォーカル。
幼げなルックスの割に
独自の世界観で歌い上げる様は
〝ケイト・ブッシュ〟を彷彿とさせる。

気が付くと、次から次へと
入れ替わり立ち替わり
常連達で盛り上がっていた。

フロアにいる何人かが
慣れたようにステージに
上がっている。
もちろんマークも、その一人だ。

もう、どこまでが客だか
演奏者だか分からない。
ハードロックから弾き語りまで
まるで音の洪水だ。

かつて僕が BAD MOUTH で
演っていた空間とは、全然違う。
これがライブハウスなんだ!

「どうだ? 何でも有りで面白いだろ⁉︎ 今日は『クレイジー・ナイト』。ノンジャンルで片っ端からステージに上がれる、音の細かいことは言いっこなしの、セント・ブライアンズ名物企画なんだ」

ステージを降りたマークが
ビターをグイッと飲み干して続けた。

「ここでは音楽に差別はしない。やる気さえあれば、あらゆるバンドをサポートしてくれる」

現にウォルターは要請されると
ギター、ベース、ドラム、ピアノと
何でもこなしていて、小学校の先生から
ベテランミュージシャンへと
変貌していたんだ。かっこ好い!

「ウォルターは若い頃、バンドデビューの話もあったんだけど、まぁ夢で終わったって……だから自分の代わりに世界の頂点に立つバンドを、発掘したいと思ってるんだ」

そう言って振り向いたマークは
僕等に不敵な笑みを向けた。

「それが自分の従弟だったら、最高だろ?」

「おーいマーク! 準備できたぞー」

ウォルターの呼ぶ声で
マークが僕等の背中を押した。

「行くぞっ!」

慌てたってもう遅い。
僕等は既に、ステージの上だ。

始めから読む(No.3-001)

 

 「ライブハウス」は和製英語で、システムも日本独自のスタイルだって知らなかった! 英語では「クラブ」だけど、それだと日本では違った印象ですよね。
 ケイト・ブッシュさんは TV 番組『恋のから騒ぎ』の OP 曲『嵐が丘』(1978年)が有名なので80年代枠なのか微妙だけど、イギリス女性ヴォーカリスト代表として、ここでは『バブーシュカ』(1980年)をご紹介。ちなみにワタクシ『嵐が丘』って割と長い間、矢野顕子さんだと思っておりました(爆)