1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲 (YouTubeリスト参照) が登場します。イメージ・イラストも掲載中!

No.3-012 Believe In

そういえば、昨日
慌ててマークに付いて行ったから
門の鍵を閉め忘れていたこと、
今頃になって気が付いた。

僕等が端の方から
恐る恐る様子を伺ってみると
男は荷物をほどき
何かを組み立て始めた。

あれは……練習用のドラムパッド⁉︎

空が橙色に染まる静寂の中
スティックのカウントが鳴り響く。
ぼんやりとした街灯が
スポットライトのようだ。

――なんて、なんて楽しそうに
演奏するんだろう。
まるで本物のドラムの音が
聞こえてくるようで、
すっかり惹き込まれてしまった。

彼の動きが止まると
僕等は迷わず拍手した。

「うわっビビった! 人がいると思わなかった」
彼は驚きの声を上げ
スティックを重ねて振り向いた。

明るいブラウンの小ざっぱりした短髪
瞳はブルーだかグレーだか――
年齢は、僕と同じくらい?

僕は彼に近付き、声を掛けた。

「こっちこそ驚いたよ。こんな時間に、こんな所で、ドラムを練習してる奴がいるんだから」

「そっちこそ、こんな時間に、こんな所に来てるじゃないか⁉︎」
彼はちょっと警戒しながら
片付け出した。

「僕達はいいんだよ。此処は僕達のテリトリーだもん」
このフレッドの台詞を受けて
彼が目を見開いた。

「もしかして君達、昨日の昼間、此処で演奏してた……君がヴォーカルで君はギター演ってた、君はサックスのチャイニーズだね?」

「ジャパニーズだ」
少しムッとするヤス。

「そうなんだ、すまない」

彼は苦笑いを浮かべながらも
少し興奮気味に
握手を求めて立ち上がった。
デカい奴だな!

「君達の演奏、凄く良かったよ!!」

「あ、ありがとう」

僕等は戸惑いつつも
嬉しさを感じた。

始めから読む(No.3-001)

 

 当初は普通にドラムを叩く設定にしてたんですけど、現実を考慮すると21時過ぎてるし、持ち運ぶとか色々ハードル高すぎて断念……ドラマーって大変ですね!