1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.5-014 Don't Be Scared (章末)

「もう終わりだ、なんて思うなよ?」
ヤスが真剣な表情を向けた。

僕はいつまでも歌っている
トニィを遠目に

『例え目の前に壁が立ちはだかっても、僕等は決して負けはしない』

そんな歌の意味を噛み締めた――

 

 

★      ★      ★

 

 

清水の舞台から京都の街を
一望していると
マークがサングラスを外し
眩しそうに呟いた。

「ウォルターに見せたかったな……」

 

あれからカナダの更生施設に
入ったウォルターは
身体はすっかり回復したものの、
依存を断ち切るための治療は
続いているそうだ。

でも、その施設で出会った
10歳も若い看護師さんと
ステディな仲になり、
ボランティア活動に力を入れて
充実した日々を過ごしているという。

「その方が、ウォルターらしいだろう?」

そう笑顔を見せるマークの隣で
ふと思い出す。

「そういえばウォルターって、日本好きだったよね? よくヤスに色々聞いてたっけ……あのまま元気だったら僕等の日本公演に、一緒に来てたりして⁉︎」

「日本どころか世界中、付いてきただろう。そのために、あいつはオレに『世界一のミュージシャンになれ』って言ってたようなもんだ」

「それが彼の夢、そして僕等の夢?」

「夢で終わらせねーよ!」

お互い顔を見合わせ、強く頷いた。
その夢が、一歩一歩
確実に近付きつつあるんだ。

 

「おーい、ちょっと集まってくれ」

振り返ると手招きしている
ティーブンが見えた。

「え⁉︎ なんだ?」

皆んなスティーブンの回りに集まると
日本のスタッフ達と輪になって
何やら話し込んでいたヘンリーが
コホンっと咳払いを一つ。

「あ〜タナカさんから連絡が入った。明日の取材先が、どうしても都合が付かなくなってしまったため、急きょ取材を受けに今からホテルに戻る」

「「えーっ !!」」

一斉にブーイングの嵐。
今日は一日、観光の予定
だったじゃないか!?

「これが夢の現実の姿か……今日は大吉のはずなのに、何で? 何でだ⁉︎」

プロモ嫌いのマークが天を仰ぐ。
すると、ヤスが振り向いて言うんだ。

「これは俺の凶のパワーのせいだ。ここは日本だから、日本人の俺の影響が強く出た。諦めろ」

「マジか⁉︎ ニホン怖ぇーな」

固まるマークに、ヤスは
ジョークだって言ってるけど……
なんで真顔なんだ⁉︎ 

恐るべし、エキゾチック・ジャパン!

……To be continued

始めから読む(No.5-001)

 

(臆千万!臆千万!じゃないw)5章終了\(^o^)/ ご愛読いただき誠にありがとうございました。踏んだり蹴ったりだった可哀想なジェムのために、6章は彼女 (!) とラブラブな展開に⁉︎ ポップスの王道ラブソングを、怒涛の如く登場させちゃいます! 予定曲はコチラYouTubeリストから。引き続き、よろしくお願いします(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾