−No.5 Don't Be Scared 怖がらないで
「もう終わりだ、なんて思うなよ?」ヤスが真剣な表情を向けた。 僕はいつまでも歌っているトニィを遠目に 『例え目の前に壁が立ちはだかっても、僕等は決して負けはしない』 そんな歌の意味を噛み締めた―― ★ ★ ★ 清水の舞台から京都の街を一望しているとマ…
feat. Crowded House そして、久々に5人揃ったバンドは思い切り演奏を楽しんだ。 ――ああ、これ、この音と一体感なんだ、求めていたのは! メンバー全員がそれを噛み締めていると確信した。許されるならマークには本当に早く戻って来て欲しい。 「待ってるよ…
「急に連絡よこしてスタジオ貸せって、お陰で予約してたバンドに『機械の調子が悪い』とか何とか誤魔化して、キャンセルさせる羽目になったんだぞ⁉︎」 「サンキュー、ライリー! 分かってんじゃん」 「このクソガキが! 変わらず元気そうじゃねぇか」 スタジ…
feat. Big Country 「仕方ねーだろ」 マークはビッグバーガーを頬張った。 『シャバの旨い飯でも食いに行こうぜ! 社会人のオレちゃんが、奢ってやるよ』 そうドヤ顔で言われて入った店は世界中どこでも安定供給のファストフード……美味い飯? 「フィッシュ&…
pick out: EastEnders 「僕は無実だ」もう、説明する気も起きない。 「普段フラフラしてるから、こういう目に遭うのよ! 警察沙汰になるなんて――」 ほら見ろ、息子が無実かどうかなんてどうでもいいんだ。親の顔に泥を塗られたことに御立腹で口角泡を飛ばし…
feat. Tears for Fears 「動くな! 全員止まれ!」 心配したジョージが、警官を連れて様子を見に来てくれたんだ。 男は裏口から逃げ去り僕はヤスが伸ばした手を掴むと必死に叫んだ。 「病院に早く! フレッドが――」 ◇ ◇ ◇ それから1時間、僕は取調室でイラ…
pick out: Bronski Beat 僕等はセント・ブライアンズの1階入り口までやって来た。 店の看板は外されていたけど外側からは、何ら変わった様子は見受けられない。 扉に鍵は掛かってなかったのでゆっくり寂れた暗い階段を下り地下入口のドアを開けると、甘い異…
feat. The Stranglers 「君達こそ希望の光だ。君達なら世界を手に入れることができると、そう信じている――」 そのままウォルターは静かな寝息を立てた。 僕等はそっと病室を後にするとドクターが待ち受けていた。 「彼は警察が保護してきたんだ。失礼だが君…
「だけど、売った相手が悪かった」 溜め息を吐きジョージは続けた。 セント・ブライアンズを奪ったのは表向きは再開発で暴利を目論む不動産業者だったが、その実バックに付いているのはある闇組織のシンジケートだと噂されている。 ウォルターはセント・ブラ…
feat. Depeche Mode 「実は色々あって、デビューが伸びちゃったんだ」 僕等は事の流れを説明した。 「そうだったのか……まあレーベル側の思惑はともかく、こっちとしては〝Depeche Mode〟じゃないが、掴めるものは掴んでおきたいね。何事にもタイミングという…
feat. Everything But the Girl 「どうぞ入って」 2人はドアを開け僕等をフラットに招き入れるとジョージは、うとうとしているベビーをそっとバスケットに寝かせた。トニィが中を覗き込む。 「可愛いね、男の子? 女の子?」 「男だよ、名前はエリック」 「…
「誰かサポートに入ってもらうとか?」トニィはそう言ってフレッドの顔色をうかがった。 曲はともかく、詩の大半を書いているフレッドには気を使ってしまうみたいだ。 「……僕達の曲を、メンバーじゃない人に弄られるのは嫌だよ。アイディアを盗まれたくない…
pick out: G.I. Orange そら面白い! って皆んなで一生懸命木の箱を振っている姿が笑えるな。外国人観光客が多い京都はおみくじも、ちゃんと英語で書いてあるんだ。 「見ろよこれ?『大吉』だってさ!」マークは引いたおみくじを得意気にヒラヒラさせる。 「…
清水寺、金閣寺、平安神宮 etc.――一日中オフをもらった僕等は待ちに待った二度目の京都見物にテンションを上げていた。 前回プロモーションで来日した時は番組収録を兼ねていたから観光らしい観光はできなかったけど、今日は自由に回れるってことで皆んな凄…