pick out: Yes
「取り敢えず、シーケンサーという手はあるけど……」と僕。
「でも機械の音なんてな……」とトニィ。
「変わりの奴を探さ――」
とヤスが言い終わらないうちに
フレッドがテーブルを揺らした。
「そんなこと、できないよ! 僕は絶対認めない。マーク以外のベーシストなんて」
「じゃあ、ベース無しで演れって?」
ヤスはフレッドの方を
見向きもしない。
「だって、だってさ⁉︎ マークは辞めたくて辞めるんじゃないのに『ベースは君じゃなくても、いくらだっているよ』って感じで、やるせないよ」
憤るフレッドに構わず
ヤスは続けた。
「このバンドはマークがいたから生まれたんだし、彼が実質的なリーダーでもある。だからこそ彼を失った後、このバンドをどう成長させるかが重要なんだ。単にベースパートの問題じゃない」
一同大きく頷いた。
「考えてみれば、こんな大きな箱で演れたのもマークのお陰だよね? これからは僕等だけで、やっていけるのかって不安になるよ……」
「ジェム、なに情けないこと言ってんだ⁉︎」
マークが戻って来ていた。
「確かにオレは経験ある分だけ皆んなを引っ張っる形になってたけど、バンドがここまでこれたのは、一人一人の実力がバンドと上手く噛み合ったからだ。それはオレの力じゃない」
そして一段と声を強めた。
「第一、オレが抜けたぐらいで駄目になるようなバンドなんて、端から興味ねーよ」
マークの言葉を噛みしめる僕等に
彼は小さく笑顔を向けた。
「この一年で The Starlight Night は、オレがいなくても十分やっていけるだけの実力は付いた。だからデビューできるんだ」
「デビュー⁉︎」
皆んなの顔が、驚きに変わる。
「これが『The Starlight Night との契約を考えたい』と言ってきたレーベルだ」
その紙には、大小3社ものレーベル名が
書いてあったんだ!
こんな風に多くのバンドは脱退やメンバーチェンジをしてたりするけど、ずっとオリジナル・メンバーでいて欲しいと思ってしまう――U2のようにね!
で、ご紹介するのはU2ではなく(もちろん後々ご紹介)イエス。逆にオリジナル・メンバーがいなくなってしまったバンドです。イエスは70年代から活躍するUKプログレの大家ですが、1983年リリースの『ロンリー・ハート』は、80sらしいPOPロック! イントロ当ての正解率は高そうw
オリジナル・メンバーがいなくなっても、少しずつ若手に入れ替わりながら続いていく――そんなロックバンドがあってもいいかも⁉︎
YES - Owner of a Lonely Heart