1980s 洋楽★創作物語

Original Stories of 1980s Pops — 日本╳UKと過去が交差。80s洋楽が彩る、仲間と紡ぐ群像劇!

No.3-025 不意の来訪者 ――Believe In

「うわっ、何だよ⁉︎」
驚き慌てるマーク。

トニィがマークの背中から
両腕を押さえ、
僕は彼のTシャツの左側の袖を
勢いよく肩まで捲った。

「タトゥーあった!」
歓声を上げるメンバー。

マークの左腕には、彼の大好きな
ダークヒーローのシンボル、
コウモリが描かれていたんだ。

ヤスが隠し持っていたアルバムを
マークの目の前に差し出すと、
彼は両手で大きく頭を抱えた。

「おーい勘弁してくれよー! トニィ、お前だな? コイツがLA出身だって聞いたときから、いつかこんな日が来るとは思ってたんだ。えーい、コイツめ、コイツめっ!」

マークがトニィを小突き
皆んな大爆笑!

そんな和やかな雰囲気の
重々しい表情を浮かべたウォルターがやって来た。

「マーク、ちょっと……」

「なんだいウォルター?」

次の瞬間、
マークの表情が一変した。

「スーザン!」

ウォルターの後ろから
大柄の若い女性が、険しい表情で
こっちを見ていた。

マークは一瞬後ずさると
女性が顎で合図を送り、
彼は頭を掻きながら
その女性と一緒に
スタッフルームへ向かった。

こんな風に動揺しているマークは
見たことがない。

残された僕等に、ウォルターは
神妙な面持ちで教えてくれた。

「スーザンはマークの姉さんだ。マークの親父さんが倒れたらしい」

◆ ◆ ◆

しばらくして、マークが戻ってくると
皆んな彼の周りに集まった。

マークは煙草に火をつけ、
ゆっくりと煙を吐きながら
話を始めた。

「親父が脳卒中で倒れた。命は助かって、今入院している。ただ……」

彼は一呼吸おいて続けた。

「ただ、マヒが残った。一生、車椅子らしい」

一瞬の静寂の後、
フレッドが口を開いた。

「じゃあ、すぐにお見舞いに行かなくちゃ!」

「ライブまでには、戻って来れるか?」
トニィも不安げだ。

マークは小さくフッと笑った。

「だけどウォルターも人が悪いよな、スーザンをここに呼び出すなんて。もうガキじゃねーんだから、逃げやしねぇのに」

そして、マークは初めて
自分の生い立ちを話してくれたんだ。

始めから読む(No.3-001)

 

 ロックな界隈にいたなら、マークもタトゥーやってるんだろうなと想像したものの、じっとしてるの苦手なせっかちさんだから、ワンポイントぐらいが関の山かと(描くのも面倒だしね)
 そこで『バットマン』(言っちゃったw)登場! ティム・バートンの映画は1989年とまだ先なので、多分マークはコミックやアニメを子供の頃から見てて、ファンになったんでしょうね〜


 

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登場人物 & あらすじ