「うわっ、何だよ⁉︎」
驚き慌てるマーク。
トニィがマークの背中から
両腕を押さえると
僕は彼のTシャツの左側の袖を
勢いよく肩まで捲った。
「タトゥーあった!」
歓声を上げるメンバー。
マークの左腕には、彼の大好きな
ダークヒーローのシンボル、
コウモリが描かれていたんだ。
ヤスが隠し持っていたアルバムを
マークの目の前に差し出すと
彼は両手で大きく頭を抱えた。
「おーい勘弁してくれよー! トニィ、お前だな? コイツがLA出身だって聞いた時から、いつかこんな日が来るとは思ってたんだ。えーい、コイツめ、コイツめっ!」
マークがトニィを小突いて
皆んな大爆笑!
そんな和やかな雰囲気の中
重々しい表情のウォルターがやって来た。
「マーク、ちょっと……」
「なんだいウォルター?」
次の瞬間
マークの表情が変わった。
「スーザン!」
ウォルターの後ろから
大柄の若い女性が、険しい表情で
こっちを見ていた。
マークはその女性を連れ出し
スタッフ・ルームへ向かうと、
残された僕等にウォルターは
神妙な面もちで教えてくれた。
「スーザンはマークの姉さんだ。マークの親父さんが倒れたらしい」
暫くしてマークが戻ってくると
皆んな彼の周りに集まった。
マークは煙草に火をつけ
ゆっくり煙を吐き、話し出した。
「親父が脳卒中で倒れた。命は助かって今、入院している。ただ……」
彼は一呼吸おいて続けた。
「ただマヒが残った。一生、車椅子らしい」
一瞬の静寂の後
フレッドが口を開いた。
「じゃあ、直ぐお見舞いに行かなくちゃ!」
「ギグまでには、戻って来れるか?」
トニィも不安顔だ。
マークはフッと小さく笑った。
「だけどウォルターも人が悪いな、スーザンを此処に呼び出すなんて。もうガキじゃねーんだから、逃げやしねえのに」
そして、マークは初めて
自分の生い立ちを語ってくれたんだ。
そこで『バットマン』(言っちゃったw)登場! ティム・バートンの映画は1989年とまだ先なので、マークはコミックやアニメを子供の頃から見てて、ファンになったんでしょうね〜(´∀`)