「うわっ、何だよ⁉︎」
驚き慌てるマーク。
トニィがマークの背中から
両腕を押さえ、
僕は彼のTシャツの左側の袖を
勢いよく肩まで捲った。
「タトゥーあった!」
歓声を上げるメンバー。
マークの左腕には、彼の大好きな
ダークヒーローのシンボル、
コウモリが描かれていたんだ。
ヤスが隠し持っていたアルバムを
マークの目の前に差し出すと、
彼は両手で大きく頭を抱えた。
「おーい勘弁してくれよー! トニィ、お前だな? コイツがLA出身だって聞いたときから、いつかこんな日が来るとは思ってたんだ。えーい、コイツめ、コイツめっ!」
マークがトニィを小突き
皆んな大爆笑!
そんな和やかな雰囲気の中、
重々しい表情を浮かべたウォルターがやって来た。
「マーク、ちょっと……」
「なんだいウォルター?」
次の瞬間、
マークの表情が一変した。
「スーザン!」
ウォルターの後ろから
大柄の若い女性が、険しい表情で
こっちを見ていた。
マークは一瞬後ずさると
女性が顎で合図を送り、
彼は頭を掻きながら
その女性と一緒に
スタッフルームへ向かった。
こんな風に動揺しているマークは
見たことがない。
残された僕等に、ウォルターは
神妙な面持ちで教えてくれた。
「スーザンはマークの姉さんだ。マークの親父さんが倒れたらしい」
◆ ◆ ◆
しばらくして、マークが戻ってくると
皆んな彼の周りに集まった。
マークは煙草に火をつけ、
ゆっくりと煙を吐きながら
話を始めた。
「親父が脳卒中で倒れた。命は助かって、今入院している。ただ……」
彼は一呼吸おいて続けた。
「ただ、マヒが残った。一生、車椅子らしい」
一瞬の静寂の後、
フレッドが口を開いた。
「じゃあ、すぐにお見舞いに行かなくちゃ!」
「ライブまでには、戻って来れるか?」
トニィも不安げだ。
マークは小さくフッと笑った。
「だけどウォルターも人が悪いよな、スーザンをここに呼び出すなんて。もうガキじゃねーんだから、逃げやしねぇのに」
そして、マークは初めて
自分の生い立ちを話してくれたんだ。
ロックな界隈にいたなら、マークもタトゥーやってるんだろうなと想像したものの、じっとしてるの苦手なせっかちさんだから、ワンポイントぐらいが関の山かと(描くのも面倒だしね)
そこで『バットマン』(言っちゃったw)登場! ティム・バートンの映画は1989年とまだ先なので、多分マークはコミックやアニメを子供の頃から見てて、ファンになったんでしょうね〜

