僕等の方は
フレッドが買ってきてくれた
ドリンクを飲みながら
ホテルのロビーのソファに
埋もれていた。
トニィの隣に座った僕は
彼の様子をうかがいつつ、訊いてみた。
「昨日のトニィは、トニィらしくなかった。ルイスの前では、いつもあんな調子?」
「……どうしていいか、分からないんだ」
彼は項垂れ頭を抱えるも
身を起こして、話し出した。
「ルイスとは同い年で家も隣同士だから、いつも一緒に遊んでいたよ。彼女は面倒見が良くてああいう性格だから、オレは怒られてばかりいたけどね。愛らしい彼女は近所でも人気者で、オレも一緒にいるのは嬉しかった。でも、いつからだろう」
顔を曇らせ
溜め息を吐くと
「ルイスはとても綺麗になっていて、それに頭も良くて友達もたくさんいて……そんな彼女が眩しすぎて、なんだか急に近寄り難くなったんだ」
自分は音楽やバスケに夢中で
勉強はからっきしだし、
ルイスの友達と自分の仲間じゃ
タイプも全然違っていたので
次第に疎遠になったと言う。
「気付けばルイスにBFができてて……相手は当然、学校一のモテ男だ。オレはそこで彼女に、幼馴染み以上の気持ちがあることを自覚したんだ。自覚したところで、もう遅いと思ったけど――」
トニィの表情が
わずかに明るくなる。
「でもプロムの時、ルイスのBFが他の女といたから問い質したら、そいつルイスに振られたって言うんだよ⁉︎ 急いでルイスの家に駆けつけると、彼女はオレを待っていてくれたんだ」
眩しそうに話すトニィを見てると
羨ましくなるよ。
なのに、また項垂れてしまった。
「だけどオレ達、幼馴染みでいた時間が長すぎて……彼女になったルイスに、どう接していいか分からないんだ」
トニィは勢いよく
ドリンクを飲み干し
「だいたい、なんでオレなんだ!? モテ男だけじゃない、他にも優秀でカッコイイ奴なんて沢山いるのに⁉︎ だからルイスがオレを選んだ理由が〝幼馴染の安心感〟だとしたら――」
ガシッと僕の肩を捉え
激しく揺さぶった。
「安心感なんてクソくらえ! ベッドルームに2人切りなんて、自制心保つわけないだろ⁉︎ オレ、ルイスを傷付けたくない、嫌われたくないんだ」
都会から保守的な田舎町に越してきたケヴィン・ベーコン演じるレンが、ダンスとロックを通じて、仲間と大人達に立ち向かう青春物語。サントラからの一曲は、No.4-026で登場します( 'ω' و( و"♪