1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-023 Lost The Way

僕等の方は
フレッドが買ってきてくれた
ドリンクを飲みながら
ホテルのロビーのソファに
埋もれていた。

トニィの隣に座った僕は
彼の様子をうかがいつつ、訊いてみた。

「昨日のトニィは、トニィらしくなかった。ルイスの前では、いつもあんな調子?」

「……どうしていいか、分からないんだ」

彼は項垂れ頭を抱えるも
身を起こして、話し出した。

「ルイスとは同い年で家も隣同士だから、いつも一緒に遊んでいたよ。彼女は面倒見が良くてああいう性格だから、オレは怒られてばかりいたけどね。愛らしい彼女は近所でも人気者で、オレも一緒にいるのは嬉しかった。でも、いつからだろう」

顔を曇らせ
溜め息を吐くと

「ルイスはとても綺麗になっていて、それに頭も良くて友達もたくさんいて……そんな彼女が眩しすぎて、なんだか急に近寄り難くなったんだ」

自分は音楽やバスケに夢中で
勉強はからっきしだし、
ルイスの友達と自分の仲間じゃ
タイプも全然違っていたので
次第に疎遠になったと言う。

「気付けばルイスにBFができてて……相手は当然、学校一のモテ男だ。オレはそこで彼女に、幼馴染み以上の気持ちがあることを自覚したんだ。自覚したところで、もう遅いと思ったけど――」

トニィの表情が
わずかに明るくなる。

「でもプロムの時、ルイスのBFが他の女といたから問い質したら、そいつルイスに振られたって言うんだよ⁉︎ 急いでルイスの家に駆けつけると、彼女はオレを待っていてくれたんだ」

眩しそうに話すトニィを見てると
羨ましくなるよ。
なのに、また項垂れてしまった。

「だけどオレ達、幼馴染みでいた時間が長すぎて……彼女になったルイスに、どう接していいか分からないんだ」

トニィは勢いよく
ドリンクを飲み干し

「だいたい、なんでオレなんだ!? モテ男だけじゃない、他にも優秀でカッコイイ奴なんて沢山いるのに⁉︎ だからルイスがオレを選んだ理由が〝幼馴染の安心感〟だとしたら――」

ガシッと僕の肩を捉え
激しく揺さぶった。

「安心感なんてクソくらえ! ベッドルームに2人切りなんて、自制心保つわけないだろ⁉︎ オレ、ルイスを傷付けたくない、嫌われたくないんだ」

始めから読む(No.4-001)

 

 幼馴染の恋愛物語ちまたに溢れてますが、要約すれば大体こんなパターンかとw プロムと聞いて思い浮かぶ映画『プリティ・イン・ピンク』は、タイトル曲をNo.4-014で紹介したので、ここは『フットルース』で!
 都会から保守的な田舎町に越してきたケヴィン・ベーコン演じるレンが、ダンスとロックを通じて、仲間と大人達に立ち向かう青春物語。サントラからの一曲は、No.4-026で登場します( 'ω' و( و"♪