1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-013 Lost The Way

feat. Bananarama

「私が悪いって言うの?」

ルイスのひと睨みで
大きく首を横に振るトニィ。

「いや……何でわざわざ……急にこっちに来てくれたのかと……も、もしかして――」

しどろもどろな様子に
ルイスはイラつき遮った。

「もしかして『もうオレのこと好きじゃない』とか『オレに別れを言いに来た』とか、言うんじゃないでしょうね?」

どうやら図星みたいだ。
顔を引きつらせるトニィに
ルイスは凄い迫力で詰め寄る。

「私が! ただトニィに会うためだけに! わざわざロンドンに来ちゃ、いけないって言うの⁉︎ っていうか別れ話なんかで、わざわざロンドンまで来ないっつーの!!」

「ご、ごめん。でも電話しても、いつもいないし、手紙出しても返事くれないし……アルバイトしてることもオレには一言も無かったから、もう留年したバカなオレに愛想を尽かして――」

「だって急に帰って来るって言われても、こっちはバイト先のサマーキャンプに出発した後だったの! トニィはいつだってそう。自分の都合優先で、目の前の事しか見えてない。そのクセ本人は、こっちを気遣ってるつもりなんだから」

大きな身体を、しゅんとさせるトニィに
ルイスは深い溜め息を吐いた。

「まったく……留年するわ、感謝祭には帰って来ないわ、トニィをロンドンに引き留めているものが何なのか、確かめないと気が済まないじゃない⁉︎」

そう言って振り向いたルイスに
フレッドは肩を竦めてみせた。

「ああ、それで内緒で来たんだね? 抜き打ちチェック的な?」

ポカンとしているトニィの代わりに
僕が焦って答えた。

「トニィは他に女の子なんていないよ⁉︎ いつも君のことを〝オレの女神だ、ヴィーナスだ〟って自慢してるよ!」

「……あなたの言うことなんて、信用できないわ。トニィを庇ってエッチな雑誌、隠そうとしたクセに」

バレてんじゃん!
思わずベッドに視線を移した僕に
気付いたトニィは、慌てて雑誌を手にし

「ホンと、オレの『ヴィーナス』はルイスだけだよ! この子だって、ちょっとルイスに似てるなって思っただけで――」

[Bananarama『Venus』Released:19 May 1986]

 

と雑誌をめくってルイスに見せる。
おいおい!

始めから読む(No.4-001)

 

 イギリスの3人娘といえばバナナラマ!『ヴィーナス』のオリジナルは、ショッキング・ブルーが1969年にリリースしたヒット曲。それをユーロビートの立役者で有名なプロデューサーチーム、ストック・エイトキン・ウォーターマン(SAW)により、ダンサブルでアゲアゲに仕上げた彼女達の代表曲です。その後、音楽的相違というあるあるでシヴォーンが抜けちゃうけど、今もカレンとサラで活動中!
 女性は結婚・出産・育児でメンバー全員でのコンスタントな活動は難しくなるけど、年をとっても続けて欲しい・・・日本だとMAX、Perfume 辺りかな? 期待してます\(^o^)/
Music Video
Bananarama - Venus
 

 

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