1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-021 Lost The Way

僕はヤスの頭を、軽く小突いた。

「まさか学校の女の子にも、あんな態度じゃないだろうね? そんなんじゃ彼女できないよ!?」

「あんなウザイ女に比べたら、クラスのお喋りな女子達の方が、まだマシじゃん」

ヤスの奴、鼻で笑ってるよ。

そして勢いよくドアが開き
トニィとルイスが戻って来た。
何か揉めてるみたいだ。

「もう知らない、トニィのバカ!」

「とにかく最初の予定通り、明後日の便で帰るんだ!」

珍しくトニィが大声を出し、
僕は慌てて2人の側に駆け寄った。

「どうしたんだよトニィ、ルイス泣いてるじゃないか⁉︎ ルイス、両親にOKもらえなかった?」

ルイスは首を横に振る。

「ママは理解してくれたわ。でも私、もうお金が……ホテルに泊まり続けるだけのお金が無いの。だから、トニィのフラットに泊めてって言ったんだけど――」

それを聞いたフレッドは
肩を竦めてみせた。

「ああ、それは厳しいね? あのトニィのフラットメイトが、OKするとは思えないもん」

するとトニィは
躊躇いがちに口にした。

「実は彼女……昨日から留守なんだ。1週間ほど出張だって」

「なんだ、だったらいいじゃないか⁉︎ 彼女の部屋にさえ入らなきゃ分かんないよ。どうせ2人、同じベッドでいいんだし」

揶揄うような口調の僕に
トニィは怖い顔を向けた。

「そんなこと、できるわけないだろ⁉︎」

「そうだよジェム、女性の勘は侮れないよ? キッチンだって直ぐ分かっちゃうんだから! 絨毯の髪の毛もよーく掃除しておかないと、バレたらトニィが部屋を追い出されちゃうよ⁉︎」
フレッドが口を尖らせる。

「そういう問題じゃないんだ……」
顔を覆うトニィ。

ルイスは鼻を啜りながら
説明した。

「違うのよ? トニィは私と一緒に住むこと自体、躊躇してるの。場所の問題じゃないの」

僕はルイスの言っている意味が
分からずトニィに目をやると
彼は珍しく焦り出した。

「オ、オレは、君の両親の信頼を裏切るようなことは、したくないんだ」

「パパもママもお姉ちゃん達も、私がわけ分かんない安宿に泊まるぐらいなら、息子同然のトニィと一緒の方が何倍も安心するわよ!」

始めから読む(No.4-001)

 

 ルイスは近所でも評判の、美人3姉妹の末娘。めっちゃ可愛がられ、甘やかされて育ってます! ルイスはママの若い頃に一番そっくりの、美人&ナイスバディらしいですよ〜ということは、将来はママのように・・・?(とはいえママの顔、デカくなりすぎたw)