1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-025 Lost The Way

feat. Eighth Wonder

「でも、デビューがどうなるか分からないし……」

トニィはルイスを抱き寄せるも
一人前になる見通しが立たないのに
軽はずみなことはできないと、頑なだ。

それに関しては
僕も気が気じゃなくて
気休めも言えずにいたけれど。

「オレが待たせてる間に、君に相応しい人が現れたら――」

「相応しいって、何⁉︎」

ルイスは鋭い視線を送った。

「だったら私の方こそ、バンドマンの彼女として失格よね? 音楽の事なんか全然わかんないし、嫉妬深いし我慢も足りない。トニィの彼女に相応しくないでしょ!?」

「そんなこと、関係ないよ!」

「そうよ、関係ないのよ!」

ピシャリと言い放つと
ルイスは僕等に訴え出した。

「この人、口下手で甘い囁きもしてくれないし、服もいつもTシャツ&デニムで洒落っ気も無し。とてもロミオのような王子様とはいえないけど、でもそんなこと全然気にならない私って変?」

もちろん「変じゃないよ」って
僕とフレッドに、笑みがこぼれた。
(ヤスは呆れてたけどね)

ルイスも、はにかみの
笑顔を見せた。

「私ね、トニィの側にいると幸せなの。トニィと一緒にいる時の自分が大好きなの。他の男の子の前じゃ、こんな風になれない……トニィを選んだ理由が、それだけじゃ不満?」

トニィは彼女の手を取り
首を大きく横に振ると
躊躇いがちに頭を下げた。

「ごめん……オレ自信なかった、臆病だった。君が不安になるなんて、思いもしなかった」

「だったら『私と一緒にいて』よ。私はずっと此処にいるわけじゃない、今しかないの分かるでしょ?」

[Eighth Wonder『Stay With Me』Released:21 March 1986]

 

ルイスは小さく頷くトニィの肩に
手を滑らせ、大きく見上げると
しっかり彼の瞳を捉えた。

「もう逃げないで、ちゃんと私と向き合って! 私は『音楽と私どっちが大事⁉︎』なんて言うような彼女には、なりたくないのよ?」

トニィは勢いよく
彼女を抱き締め
「本当はいつだって、君が欲しくてたまらないんだ」
と力強く唇を奪った。

ルイスは吐息を漏らし
目を潤ませ、笑顔で応えた。

「もう不安に、させないでよね?」

始めから読む(No.4-001)

 

『ステイ・ウィズ・ミー』といえば自分的にはピーター・セテラですが(R.スチュワート、松原みきさんって人も多そう)ここはUK女子推しでエイス・ワンダーのデビュー曲を!
 当時17歳の女優、パッツィー・ケンジット(リアム・ギャラガーの元嫁って方が有名?)のキュートなルックスと歌声でヒットしたけど、英米では話題にならなかったとか。こういう日本独自の売れ筋を「ビッグ・イン・ジャパン」と揶揄されますが、詳細は10章で。
 そんな彼らも2年後の1988年に、ペットショップ・ボーイズに提供された『モンマルトルの森 (I'm Not Scared)』がUKでも7位のヒット曲となりました!
Music Video
Eighth Wonder - Stay With Me
 それにしてもトニィとルイスは、どっちも自分の方が相手を追いかけてると思っている、両片想いの状態ですね。あ〜ハイハイ( ̄▽ ̄)←ヤスの気持ちw
 

 

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