1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-022 Lost The Way

「と、とにかくLAに帰るんだ! オレ達のことは大丈夫だから」

「なんで⁉︎ こんな時こそ側にいたいのに、どうして分かってくれないの?」

2人のやり取りで察した僕は
思わず口をついて出てしまった。

「もしかして、まだ⁉︎」

もしかすると僕は、トニィより先に
ルイスのヌードを見ちゃったのかも
しれない……(Oh God !)

◇ ◇ ◇

次の日の夕方
慌てた様子のトニィから
電話が掛かってきて、
僕とフレッドはトニィが待つ
ルイスの宿泊先ホテルへ向かった。

ロビーには
「ルイスと、はぐれた」と
青ざめた表情のトニィが
立ち竦んでいた。

昨日のことで、デート中に
話し合っていたら
ルイスが怒って駆け出して行き
雑踏の中に消えてしまったらしい。

「まだホテルには戻ってなくて、変な野郎に絡まれてないか心配で……」

僕はトニィを落ち着かせようと
ソファに座らせ
フレッドはドリンクを買いに
外へ向かった。

 

 

その頃ヤスは、久々に
母ユミコと日本食レストランで
早めの夕飯を終えたところだった。

コヴェント・ガーデンに向かい
歩いていると、目線の先に
足首まであるロングコートをまとい
マフラーと帽子で顔を覆った
防寒対策バッチリなルイスが
独りベンチでぼんやりしているのに
気付いたんだって。

「トニィはどうした?」

ヤスの声に
ゆっくり顔を上げたルイスは
何も言わずにヤスを見つめた。

予想外の反応に戸惑ったヤスは

「やっぱり明日、帰るんだろ? ま、せいぜいロンドンを楽しむんだな」

そう言って逃げるように背を向け
歩き出した途端、彼女が叫んだ。

「行かないでよ! 独りにしないで!」

そんな2人の様子を
遠巻きに眺めていたユミコは、
驚いて固まっている息子の手に
紙幣を握らせると

「ちゃんと家まで、送ってあげなさい?」

そう念押しし、
嬉々として去って行った。

「あれは絶対、誤解してる」

ヤスは困惑するも、仕方なく
ルイスに声を掛けたんだって。

「……取り敢えず、お茶でもどう? 母さんの驕りだけど」

人生で初めてナンパした気分だったと
後にヤスは不貞腐れながら
話してくれた。

始めから読む(No.4-001)

 

 はい、携帯電話の無い時代ですよw あの頃は友達とはぐれたらどうしていたのか、まったく記憶にございません・・・
 それにしてもヤスってば、よくルイスに気付きましたね? でも、お茶に誘ったのは失敗だったと、後悔してるみたい (ノ∀`)