feat. Samantha Fox
カクカク揺れる僕を尻目に
フレッドがクスッと笑う。
「大丈夫だと思うよ? ルイスの方も〝その気〟なんじゃないかな!? あのスーツケースの中の高級そうなランジェリー、セクシーなドレスにブランド物の化粧品なんて、気合い十分――」
「見ないでよ⁉︎」
振り向くと、真っ赤な顔した
ルイスが立っていた。
「化粧品は、お姉ちゃんの会社のサンプル品だから」
別に気張ってるわけじゃないと
憤慨するルイスの後ろに
棒立ち状態のヤスもいたのは
驚いた。
安堵のトニィが立ち上がり
「良かった、心配したよ」
とルイスを抱き締める。
そんな2人にフレッドは
「だって、スーツケースをあんな風におっ広げてたら、嫌でも目に入っちゃうよ? でも女の人って、そうやって好きな人のために装うところ、健気だよね……トニィは、それに応えてあげないの?」
と小首を傾げた。
僕の弟はウブだと思ってたのに
なんで女性の気持ちを
代弁できるの⁉︎
「オ、オレは……」
困ったように顔を背けるトニィに
「そうよ! ちゃんと私を見て⁉︎」
ルイスは彼の頬を両手で捉え
グイッと引き寄せた。
「せっかく友達が『鈍感なトニィでも分かりやすく』って選んでくれたコーディネートなのに、古着屋でこんなコート買われちゃ意味ないじゃない!」
コートを脱いで投げ捨てたルイスは
身体の線があらわになった
真っ赤なセーターと
網タイツに黒のミニスカート、
15cm ヒールのブーツで
とってもベタな……いや
セクシーなファッションで
仁王立ちになった。
これは、確かに他の男の視線から
隠したくなるトニィの気持ちは
分かるよ?
なんて目のやり場に困っていると
「ルイス、カッコいいよ!」って
フレッドが囃し立て、
ギョッとなる僕とヤス。
セクシーファッションに動じないなんて
弟は一体何者なんだ!?
(ゲイじゃないよね?)
ドヤ顔のルイスだったけど
軽く溜め息を吐いた。
「トニィが私を大切にしてくれてるのは分かってる。でも離れているのは寂しいし不安なのよ? せめて一緒にいる時ぐらいトニィを感じたいのに……やっぱり私って家族みたいな感じ? 女として魅力ない!?」
そんなわけ無い! と
勢いよく首を横に振るトニィに
「だったら『私に触れて』よ? あなたの鼓動を感じたいの」
ルイスは両腕を広げた。
ここから三連続でルイスの気持ちに沿う、女性シンガーの曲をご紹介。先ずはサマンサ・フォックス! 邦題は『タッチ・ミー』だけど、英語タイトルには「あなたのカラダが欲しい」とストレートに入ってますね、Wow♡ サマンサは155cmと小柄だけどセクシー系出身。ルイスも同じぐらい小さい設定なので、ちょっと親近感?w
そしてフレッドが女心に理解ある理由は、彼の生い立ち7章にて〜
Samantha Fox - Touch Me (I Want Your Body)