1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-017 Lost The Way

「別に。ただ、あの手の女は気に入らない。あの甘えた甲高い声も虫唾が走る」

ヤスにしては、珍しく感情的だ。
そこへスティーブンが
2人の男を連れてやってきた。

「紹介しよう。彼が米国本社の重役広報部長レッド・レイノルズだ。そしてこちらは、プロデューサーのチャールズ・カーツ君だ」

ティーブンの話では、レッドは先ず
僕等の写真に目が止まり
デモを聴いて興味を持つと
直ぐ英国支社に連絡したそうだ。
そして、ロバートとの経緯を知ると
新進気鋭のプロデューサー
チャールズに白羽の矢を当てた。

僕等が2人の前で演奏すると
レッドもチャールズも
バンドの才能を確信してくれたんだ。
これでロバートは、お払い箱さ!

早速、心機一転スタジオへ。

ロバートの時は初めてのことが多くて
戸惑いもあったけど、今回は
慣れてきたのもあったし
既に下地は、できていたので
急ピッチで進んでいった。

新しいプロデューサーのチャールズは
まだ20代の若手だったけど
奇をてらったところもなく
バンドの意見を
十分尊重してくれたしね。

特にフレッドは、ロバートのせいで
自分のしたいことが思うように
できなかったせいか、
とても張り切っているみたいだ。

 

 

こうして、ファースト・シングル予定の
「Everything For You」が
まとまったんだけど、何かもう一捻り
欲しいと感じていたメンバーは、
チャールズが出かけている間に
色々とアイディアを試していたんだ。

すると、これまで大人しく
トニィにくっついていたルイスが
口を挟んできた。

「ねえ思ったんだけど、その音……さっき直した部分に付け加えると、いいんじゃない?」

トニィが振り返る。

「さっき直した部分って?」

彼女は可愛いらしい声で
ハミングしてみせた。

「へぇ、なる程〜」

感心する僕とフレッドの反応に
ルイスは気を良くしたみたいだ。

「なかなか良いアイディアでしょ? 皆んなの様子を見てたら、ピンときたの!」

前のめりなルイスに
ヤスはイラつき出した。

「分かったから、少し黙ってろ」

「誰もあんたに言ってないから! ねえトニィ、ちょっとでいいからやってみて?」

始めから読む(No.4-001)

 

 物語のタイトル「EVERYTHING FOR YOU」は曲名&アルバムタイトル。章題もアルバム中の曲名でA面5曲、B面5曲、合計10曲=10章! なんてドヤってた80年代の自分のせいで、35年後にこんな長文を書く羽目になるとは・・・もうA面B面も無いですしね( ̄▽ ̄;)
 ヤスは昭和の日本男子なので「男の聖域(仕事)に女は口出すな」スタンス。ルイスは小柄で声高だからキャンキャン吠える小型犬のようで、余計イラッとするみたいw