pick out: Japan
ヤスはルイスを睨み
声を荒げた。
「うるせーな! 俺達はプロとして色々考えてるんだから、邪魔すんな」
「なーにがプロよ? まだデビューしてないクセに」
「ドシロウトに一々、口出しされたくないね! 単純にその音を入れるだけじゃ駄目なんだ、バランスの問題なんだから」
「バランスを調整するのが、プロの仕事なんじゃないの⁉︎ プロならやってみなさいよ、チャイニーズボーイ」
「ジャパニーズだって言ったろ⁉︎ もう老化現象かよ!」
僕とトニィは、お互いの
幼馴染同士のバトルに唖然となり
手が付けられず、2人のバトルは続く。
「あんたみたいな頭の固いガキに、言われたくないわ! ジャパンもチャイナも大差ないでしょ⁉︎ だいたい、その言い方は何なの? 年下のクセに生意気なのよ、まだ16歳の子供のクセに」
「自分が邪魔者だって分かんない? これだから女は嫌なんだ。空気ぐらい読めよババァ」
「なんですってー⁉︎」
掴みかかりそうな勢いの彼女を
瞬時に押さえるトニィ。
「ルイス、落ち着けって」
「あんな奴の肩持つ気!?」
カッカしている彼女を
トニィは必死になだめる。
「ほらフレッドが、君の言う通りにやってくれてるから」
フレッドは2人のバトルの最中
慌てて作業を進めていたんだ。
「ザックリだけど、できたよ。聴いてみよう?」
僕等はフレッドの回りに集まった。
そして、その音を聞いて
皆んな(ヤス以外)の顔が
一様にほころんだ。
「成功だよ、大成功だ!」
「さっきより、何倍もいいね!?」
「ルイスのアイディアをヒントに、ここも変えてみたんだ。いい感じに、まとまったよね?」
フレッドもご満悦だ。
そこへチャールズが帰ってきたので
できたばかりの曲を
聴いてもらったんだ。すると、
「ずっと良くなってるじゃないか! 素晴らしいアイディアだよ」
チャールズも絶賛だ。
ルイスは勝ち誇った笑みで
さり気なくヤスに近付いた。
「ほうらね? 私のアイディア、なかなかのもんじゃない」
鼻息の荒いルイスに
「じゃあ皆んな、全体のチェックを始めよう?」
とヤスは見向きもしない。
ここにもデヴィッドとスティーヴの兄弟がいて親近感はあるものの、知ってる曲はトウキョウとチャイナしかないので、ここはヤスの出身地にちなみ『ライフ・イン・トウキョウ』(1979) を!
Japan - Life in Tokyo