「なに言ってんだ?」って
ぼやきながら、
鏡に映った自分を見て分かった。
両耳のピアスは両性愛者を
表すからねーって、ちょっと待て⁉︎
右にも付けろって言ったの
お前じゃないか?
二日酔いじゃなかったら
制裁を打つのに……覚えてろよ⁉︎
★ ★ ★
スタジオに入った僕等は
盛大な拍手に迎えられた。
テレビカメラの前で
代わり映えしない司会者の質問に、
お決まりの答えを並べる。
それにしても
すごいスタジオセットだな。
日本のミュージシャンは、
いつもこんな豪華なセットで
歌っているんだ?
さすが金持ち日本!
「どうぞ」
と通訳の合図でセットの中に入り、
司会者の紹介で曲が流れ出した。
その時、スタジオの奥に
サムの姿が見えた。
彼の隣で祈るように両手を合わせ、
一心にこっちを見つめているのが
彼の妹だろう。
フレッドも気付いたみたいで、
プレイがぎこちないよ⁉︎
音は出してないから、いいけどね。
僕のマイクもオフだけど、
彼の奇跡の再会を祝して
思い切り声を上げて歌った――
◆ ◆ ◆
無事に出番を終え
控え室で帰り支度をしていると、
サムがやってきた。
彼の後ろに見え隠れしている
妹の姿もある。
「おい、どうしたんだよパティ⁉︎ お前が会いたいって言うから、親父に頼んだんだぞ!」
サムが腕を引っ張るも
彼女は兄の背中に隠れ、後退りする。
『すっごくシャイ』みたい⁉︎
「やあサム! そちらのシャイなお嬢さんが、妹さんかな?」
マークがすかさず声をかけた。
ホント、目ざといんだから。
「ほら、早く行きなよ⁉︎」
僕はフレッドの背中を押し、
マークの首根っこを引っ捕まえて
後ろに下がると、皆んなで遠巻きに
二人の様子を見守った。
意を決したフレッドが前に進み、
サムに押し出されて俯いている
パティの正面で立ち止まった。
「えっと……ちょっとゴメン?」
フレッドは、そっと手を伸ばし
ビクッとした彼女の
長い髪を束ねたサイドから
こぼれ落ちる前髪を、
静かに払い退けた。
「おおーっとフレッド君、大胆です!」
と冷やかすマーク。
「ち、違うよ! 変な誤解するなよ⁉︎」
フレッドは焦りながらも
彼女に向き直る。
「もう目立たないみたいだね? 良かったよ」
すると、パティは震えた声で答えた。
「覚えてたの? ここの傷なんて全然平気。もう、そんな昔のこと忘れてると思った。私のことなんて、忘れてると思ってた――」
カジャグーグーと言えば、この『君はTOO SHY』とリマールの『ネバーエンディング・ストーリーのテーマ』(1984)、そしてデュラン・デュランの弟分って認識だけだったのでwikiをチェックしました!
起死回生を狙っていたバンドに、ヒット曲のなかった歌手ハミルが加入。バンド名をカジャグーグーに、ハミルも綴りを入れ替えリマールにしたら大ヒット!って、もしや姓名判断が良かった? (笑)
Kajagoogoo - Too Shy
でもリマールが「バンドの取り分の50%を要求」してクビに・・・あれ、それってNo.6-002のフレッドでは!? 金銭トラブルもバンドあるあるなので、彼らも気を付けてほしいものです( ˘ω˘ )