1980s 洋楽★創作物語

Original Stories of 1980s Pops〜80年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s楽曲が登場!20年振りに描くイラストも一昔前風・・・( ˘ω˘ )

No.6-032 Blue Dreaming シャイな彼女と奇跡の再会

feat.Kajagoogoo

「なに言ってんだ?」って
ぼやきながら、
鏡に映った自分を見て分かった。

両耳のピアスは両性愛者バイセクシャル
表すからねーって、ちょっと待て⁉︎ 
右にも付けろって言ったの
お前じゃないか? 
二日酔いじゃなかったら
制裁を打つのに……覚えてろよ⁉︎

 

 

★      ★      ★

 

 

スタジオに入った僕等は
盛大な拍手に迎えられた。
テレビカメラの前で
代わり映えしない司会者の質問に、
お決まりの答えを並べる。

それにしても
すごいスタジオセットだな。 
日本のミュージシャンは、
いつもこんな豪華なセットで
歌っているんだ?
さすが金持ち日本!

「どうぞ」
と通訳の合図でセットの中に入り、
司会者の紹介で曲が流れ出した。

その時、スタジオの奥に
サムの姿が見えた。
彼の隣で祈るように両手を合わせ、
一心にこっちを見つめているのが
彼の妹だろう。

フレッドも気付いたみたいで、
プレイがぎこちないよ⁉︎ 
音は出してないから、いいけどね。

僕のマイクもオフだけど、
彼の奇跡の再会を祝して
思い切り声を上げて歌った――

◆ ◆ ◆

無事に出番を終え
控え室で帰り支度をしていると、
サムがやってきた。
彼の後ろに見え隠れしている
妹の姿もある。

「おい、どうしたんだよパティ⁉︎ お前が会いたいって言うから、親父に頼んだんだぞ!」

サムが腕を引っ張るも
彼女は兄の背中に隠れ、後退りする。
すっごくシャイ』みたい⁉︎

[Kajagoogoo『Too Shy』Released:10 January 1983]

 

 

「やあサム! そちらのシャイなお嬢さんが、妹さんかな?」

マークがすかさず声をかけた。
ホント、目ざといんだから。

「ほら、早く行きなよ⁉︎」

僕はフレッドの背中を押し、
マークの首根っこを引っ捕まえて
後ろに下がると、皆んなで遠巻きに
二人の様子を見守った。

意を決したフレッドが前に進み、
サムに押し出されて俯いている
パティの正面で立ち止まった。

「えっと……ちょっとゴメン?」

フレッドは、そっと手を伸ばし
ビクッとした彼女の
長い髪を束ねたサイドから
こぼれ落ちる前髪を、
静かに払い退けた。

「おおーっとフレッド君、大胆です!」
と冷やかすマーク。

「ち、違うよ! 変な誤解するなよ⁉︎」
フレッドは焦りながらも
彼女に向き直る。

「もう目立たないみたいだね? 良かったよ」

すると、パティは震えた声で答えた。

「覚えてたの? ここの傷なんて全然平気。もう、そんな昔のこと忘れてると思った。私のことなんて、忘れてると思ってた――」

始めから読む(No.6-001)

 

 カジャグーグーと言えば、この『君はTOO SHY』リマールの『ネバーエンディング・ストーリーのテーマ』(1984)、そしてデュラン・デュランの弟分って認識だけだったのでwikiをチェックしました!

 起死回生を狙っていたバンドに、ヒット曲のなかった歌手ハミルが加入。バンド名をカジャグーグーに、ハミルも綴りを入れ替えリマールにしたら大ヒット!って、もしや姓名判断が良かった? (笑)

Music Video
Kajagoogoo - Too Shy

 でもリマールが「バンドの取り分の50%を要求」してクビに・・・あれ、それってNo.6-002のフレッドでは!? 金銭トラブルもバンドあるあるなので、彼らも気を付けてほしいものです( ˘ω˘ )

 

 

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