1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場します。時々イメージ・イラストも掲載!

No.2-021 Mixd Feelings

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「ジェム、連れてきたよー!」

10月のハーフターム[学期中の中休み]
に入ると、僕等は
スターライト・ルームに集まった。

サックスの入ったケースを抱えた
フレッドの後ろに、ヤスがいる。

「おい、いい加減に返せよ⁉︎」
ヤスは呆れ顔だ。

やっぱり、フレッドに頼んで正解だ。
僕が連れてこようとすれば
ヤスは頑なになるからね。

僕は2人に
大きく手を振った。

「ヤス覚えてる? スターライト・ルーム」

ヤスは軽く頷くと
思い出したように訊いてきた。

「そういえば、メアリーはどうしてる?」

フレッドがギターの準備をしながら
笑顔で答えた。

「メアリーは結婚して、今はフランスなんだ。ジュディって女の子がいるんだけど、もうすぐ男の子も生まれるんだって!」

フレッドは、弟分ができるのを
楽しみにしてるみたいだ。

演奏の準備が整うと
僕は声のトーンを上げた。

「それでは聴いてください。マイ・フェイヴァリット・シングス!」

 

リズムマシンのカウントがスタートし
僕等のバッキングが始まる。
ここまでは、前回と一緒。

そしてAメロと共に、僕の声が重なる――

 

 ~♫バラをつたう雨だれや子猫のひげ、ピカピカに磨かれた銅のやかん、暖かい羊毛のミトン手袋、紐で結ばれた茶色の小包、それが私のお気に入り♫~

[映画:サウンド・オブ・ミュージックより『My Favorite Things』1959 by Williamson Music]

 

驚きの表情のヤス。

僕はそのまま
歌詞を変えて歌い続けた。


 ~♫クールを装う13歳の少年、さり気ない優しさ、プレッシャーに立ち向かう姿、彼の奏でるサックスの音色、それが僕のお気に入り♫~


そう、歌うことで僕は
ジャズのグルーヴを会得できたんだ!

程なくして間奏に入ると
人質(?)にしたサックスを
ヤスに渡して叫んだ。

 

「次のリードは君だ!」

 

始めから読む(No.2-001)

 

 英語の歌詞は韻を踏む(日本のラップのように)のがポイント。日本語に訳すと意味不明な歌詞も、たまにありますよね。ネイティブでも意味不明だったり、文法的に間違ってたりするらしいですよ。ジェムの替え歌も意味的に、メロディーに沿ってるのかは怪しいところ!?