1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.5-003 Don't Be Scared

「誰かサポートに入ってもらうとか?」
トニィはそう言って
フレッドの顔色をうかがった。

曲はともかく、詩の大半を
書いているフレッドには
気を使ってしまうみたいだ。

「……僕達の曲を、メンバーじゃない人に弄られるのは嫌だよ。アイディアを盗まれたくないしね」

案の定、ムスッとするフレッド。
Aレベル[大学入学資格試験]が
近いせいか、イラついてるな。

僕は彼の肩を軽くさすって
ご機嫌を取った。

「オリジナル曲じゃなければ、サポートしてもらってもいいんじゃない? たまには息抜きも必要だよ」

しょんぼりとしていたトニィが
パッと顔を輝かせた。 

「だったら久々に、セント・ブライアンズで演らないか? ウォルターに頼んでさ。彼なら分かってくれてるから、きっと協力してくれるよ」

ウォルターがベースを
演奏してくれるなら
新曲を演ってもいいと
頷くフレッド。
彼もライブは演りたいみたいだ。

僕は揶揄い口調で、ヤスの反応を見る。

「ライキーでギグした身としては、セント・ブライアンズだと物足りない?」

「いや、寧ろリハビリ感覚でできるから、いいんじゃない?」
ヤスもちょっと嬉しそうだ。

「じゃあオレ、ウォルターに連絡してみるよ!」

僕等はトニィからの連絡を
待つこととなった。

◇ ◇ ◇

数日後、悲痛な声のトニィから
連絡が入った。

「何度電話しても、繋がらないんだ」

心配になった僕とトニィで
セント・ブライアンズに
足を運ぶことにした。

久々にイースト・エンドへ入り
地下鉄から地上に出た先で
懐かしい顔を発見!

「ジョージ⁉︎  去年レコード店で会って以来だな」

「おう、2人とも久し振り!」

そういえば以前、
トニィはジョージから
セント・ブライアンズの
よくない噂を聞いたんだっけ。

僕等が事情を説明すると
ジョージの顔が歪んだ。

「あの辺りには当分、行かない方がいい。もう営業も、してないと思う」

戸惑う僕等の後ろから
赤ん坊の泣き声が響いた。

「ジェム、トニィ⁉︎ 驚いた!」
ベビーを抱いたジョージの奥さん、
アンが店から出て来た。

この夫婦はセント・ブライアンズの
古参の出演メンバーなんだ。
ステージに不慣れな僕等を
色々サポートしてくれたっけ。

ジョージがベビーを抱き
彼女に何やら話をすると

「私達の家、この裏をちょっと行った所にあるの。寄って行かない? お茶にしましょう」

アンが笑顔を向けた。

始めから読む(No.5-001)

 

 ジョージとアンは、No.4-003で名前が出てきたデュオのご夫婦。男女で2人組だとカップルになる(後で別れてもw)印象が。ジョージは頼れる兄貴分で、若い頃はブイブイいわせていたけど(アンはヤキモキしたかも⁉︎)子供ができて保守的なパパになる典型かな( *´艸`)
 アンのイメージはユーリズミックスアニー・レノックスのような、マニッシュでカッコイイ女性。彼女の歌声をイメージしたアーティストを、次回ご紹介します〜