feat. The Stranglers
「君達こそ希望の光だ。君達なら世界を手に入れることができると、そう信じている――」
そのままウォルターは
静かな寝息を立てた。
僕等はそっと病室を後にすると
ドクターが待ち受けていた。
「彼は警察が保護してきたんだ。失礼だが君達とは、どういう関係だろうか? 家族の方と連絡を取りたいんだが――」
僕は皆んなと視線を合わせると、
躊躇いつつ答えた。
「僕等は、彼のライブハウスでお世話になってました。最近は店に行ってなかったから、彼がこんな状態だなんて知らなかったんです」
「ウォルターがジャンキーだなんて、信じられない!」
「ドラッグに溺れるような人じゃ、ないと思ってた……」
項垂れる僕等に
ドクターは話してくれた。
「彼の場合、日頃の状況はともかく今回の原因は、急性ヘロイン中毒だ」
ジョージが眉をひそめる。
「『ゴールデン・ブラウン』か……あの店に、そんな厄介なものが出回ってたなんて」
「私見だが恐らくもっと高純度で、その扱いに手慣れた何者かに襲われた可能性が高い」
しかしヘロインが最も恐ろしいのは
中毒性が非常に高く、
依存性も早いということだ。
一度その味を知ってしまったら
その激しい禁断症状から
逃れられなくなる――
「彼には気の毒なことだが」
ドクターは残念そうに
説明してくれた。
僕等はドクターに
後でカナダの連絡先を教える
と告げ、病院を後にした。
マークもどんなに
ショックを受けるだろう……
「今からセント・ブライアンズに行って、様子を見てくる」
病院を出た先で
そうジョージに伝えると
彼は僕の肩を捉え、首を横に振った。
「やめた方がいい。ウォルターがどういう状況で運ばれたのか、警察がどこまで把握しているのか、分かってないだろう?」
「だからこそ、何も知らないからこそ、知っておきたいんだ」
ウォルターには
あんなに世話になったのに、
このままじゃマークに
何も説明できない。
「僕達3人もいるし、取り敢えず様子を見るだけだから大丈夫だよ。ね、ヤス?」
フレッドの言葉にヤスも頷く。
2人もウォルターの変わり果てた姿に
怒りを覚えているようだ。
ジョージには
トニィから連絡が来たら
ウォルターの件を伝えて欲しいと頼み
彼と別れた。
パパになったジョージに
これ以上、面倒はかけられない。
だから僕が
セント・ブライアンズの現状を
把握しなければ――
ドラッグ、ダメ、絶対!( ー̀дー́ )!
The Stranglers - Golden Brown