1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-004 Lost The Way

「ジョージが言ってたんだ。セント・ブライアンズは、たくさんのミュージシャンをバックアップしていて、金銭的に厳しい状態が続いてる。このままだと経営が危ないって。オーナーとウォルターの間も危ういらしい」

皆んな一瞬、言葉を失い
フレッドが戸惑うように呟いた。

「ウォルターには、いっぱいお世話になってるし、何か力になってあげられるといいんだけど……」

「俺達にできることって……なんだろう?」

「……とにかく、先ずは良いアルバムを作ろう」

「そうだな!」

トニィも納得し、
僕等は改めて決意を固めた。

◇ ◇ ◇

それから暫くして、スティーブンが
アメリカからロバート・ネルソンという
プロデューサーを連れて帰って来た。

ロバートはアメリカでも評判の
名うてのプロデューサーだ。
早速、彼に演奏を聴いてもらった。

「うん、なかなか仕上げがいが有りそうじゃないか。思った通り、私の斬新なアイディアを試みるのにピッタリだ。しかし、このベースはクセがあるな……ベース担当は、いないのか?」

皆んなマークのベースを
誇りに思っていたから
この台詞には、カチンときたね。

「えっと、マークはカナダに帰ってて……今回のアルバムには、参加できないんです」

そうトニィが説明するとロバートは
掛けているメガネを軽く押し上げ
フッと鼻で笑った。

「そうか、その方がいいだろう。私の知人のベーシストを呼ぶことにしよう。私に任せておけば、必ずヒットチャートに食い込むモノができる。安心して任せたまえ」

この手の台詞に一番敏感なのも
また、ロバートのような奴と
一番相性が悪いのもフレッドだ。

思えば、このロバートとの出会いが
僕等のつまずきの始まりだった。

◇ ◇ ◇

先ずは、アルバムに入れる
曲選びからスタート。
僕等バンドがリストアップした希望を
マネージャーのスティーブンと
プロデューサーのロバート、
それからノーマンレーベルの
ヘンリー等スタッフ達がまとめ上げ、
シングル予定の3曲を含む
10曲と予備曲を決定。
そして、プリプロ作業のため
満を持してスタジオへ。

※pre-production :レコーディング前の予行演習

 

僕の仮歌に合わせて
トニィのドラムを録音。
授業を終えて駆けつけたヤスと
僕のリズムギターも順調だ。

だけどフレッドの番になると案の定
ロバートと意見を戦わせて
遅々として進まず、まだ1曲も
まとまらない状態だった。

始めから読む(No.4-001)

 

 物語のあらすじを完成させようとしてた20年程前、レコーディングとかプロデューサーの仕事って? とネットで調べるも限界を感じて、現役プロデューサーの書籍を購入。だけど具体的な事は全然書いてなかったので、憤怒した記憶が・・・今のネットはwikiや関係者の記事が充実してて、大変参考になります。ありがたや〜(*´人`*)