pick out: G.I. Orange
そら面白い! って皆んなで一生懸命
木の箱を振っている姿が笑えるな。
外国人観光客が多い京都は
おみくじも、ちゃんと英語で
書いてあるんだ。
「見ろよこれ?『大吉』だってさ!」
マークは引いたおみくじを
得意気にヒラヒラさせる。
「僕は『中吉』、北の方角がラッキーだって」
フレッドも嬉しそうだ。
「私は『末吉』だ。これは、どのぐらい良い結果なんだい?」
とスティーブン。
「オレは『吉』だった。ジェムは?」
「トニィと同じ『吉』だよ。悔しいな『大吉』狙いだったのに」
そして皆んなの視線は
おみくじを紐に結ぼうとしている
ヤスに注がれた。
「あのさー、こんなのはお遊びなんだから――」
そう言うヤスを押しのけて
彼の引いたおみくじを覗き込む。
「うわーっ『凶』だって!」
「これはヤバイ」
「うるせー!」
ヤスの面白くなさそうな姿に
皆んな笑ってるよ。
★ ★ ★
イースター休暇に入り
僕等は久し振りに
ヤスの部屋で集まっていた。
『今週24位、先週29位から着実にランクアップ! いま注目のご機嫌なダンスナンバー、アンドアッシュでトレジャー!〜♫』
BBC ラジオ1から流れる
ディスク・ジョッキーの声に
全員、素早く反応する。
「ロバートは、アメリカで成功したみたいで良かったよ」
皮肉るフレッド。
プロデューサーだったロバートを
未だ根に持ってるみたいだ。
この曲が、ロバートのプロデュースか
どうかは分からないけど
奴のお得意のサウンドであることは
間違いないね。
「今はこういう音が、トレンドだから」
ヤスも小馬鹿にしてるのは明らかだ。
僕も悔しさを隠せずにいた。
「彼等じゃなく、僕等が選ばれていたら今頃は……」
そう、アンドアッシュは
ノーマンレーベルが
僕等より先にデビューさせた
ボーイズ・グループだ。
あれから4ヶ月――
スティーブンは
たまに連絡をくれるけど
デビューのことに関してはダンマリで
僕等は不安と嫉妬で
フラストレーションを抱えていた。
「あ〜ライブ演りてぇなー」
トニィが大きく伸びをする。
皆んな静まり返る中
ラジオから流れるシンセサウンドに
虚しさを覚えた。
「まあリズムセクションとしては、ベースのいないライブなんて……な、ジェム?」
取り繕うトニィ。
「僕的には、新曲を演ってみたい気持ちはあるけどね」
改めてwiki見たら「日本で売れる、三兄弟、両親金持ち」だなんて、キャラのモデルか!? ってぐらい設定の被りに今更ながら親近感 (笑) 彼等に当時の話を聞けたら、参考になりそう(* ゚∀゚)o彡
G.I. Orange - Psychic Magic