feat. Eurythmics
それにスティーブンが
「私が米国本社に行っている間に、ファーストアルバムの準備をしておいてくれ」
なんて言うもんだから
遊んでいる暇なんて無かった。
ファーストアルバムだもの
やっぱり最高のモノを作りたいんだ!
「おーい、開けてくれ?」
トニィとヤスが
ユミコからの差し入れを持って
部屋に戻って来た。
「やったー! オニギリ、オニギリ♩」
僕がすかさずパクつくと
フレッドも急いで手を伸ばす。
「ずるいよジェム、僕もツナがいい!」
トニィもグリーンティーを
すすりながら、オニギリを頬張った。
「いつも悪いねヤス。君の家は、すっかり The Starlight Night 専用のスタジオになってしまって」
「別に……この家は俺と母さんだけだし、俺の部屋も防音にしてあるから丁度いいし。あっ、その〝おかかおにぎり〟は俺のだから」
フレッドが目の前にあった
小さい方の皿を、ヤスに手渡す。
「はい、はい! このオニギリの差し入れも有難いよね。チョップスティックを使わなくても、片手で食べられるし」
皆んな、ユミコが作ってくれる
ジャパニーズ・ファストフードが
大好物なんだ。
「母さん喜んでるよ。まあ元々世話好きだし、俺が友達と一緒なのが嬉しいんだ」
そう言って、僕と目が合ったヤスは
照れくさそうに視線を逸らした。
ヤスは9月から
シックススフォームに進んだけど
こうしたバンド活動をしつつ
勉強も頑張っているらしい。
なんでも近々、教育制度が変わるとか。
若い子は大変だな。
そしてオニギリ3個を
軽く平らげたトニィが
話を切り出した。
「そうそう、皆んなに聞いて欲しいことがあったんだ。セント・ブライアンズに関する、よくない噂なんだけど……」
「噂って?」
「昨日、偶然オックスフォード・ストリートのレコード店で、ジョージとアンに会ったんだ」
ジョージとアンは
セント・ブライアンズで出会った
デュオのカップルだ。
アンは〝アニー・レノックス〟のように
中性的なルックスで、
僕は美少年だと思っていたから
女性だと知った時は驚いたよ。
2人に子供ができたそうで、
今は音楽活動を中断している。
アンとジョージは5章に登場するので、その時には、もう一組の男女デュオをご紹介します٩(。˃ ᵕ ˂ )و♪
Eurythmics - There Must Be An Angel (Playing With My Heart)