「そんな時間あんのか⁉︎ また強引にプロモ入るんじゃねーの?」
「縁起でもないこと言うなよ!」
〈バサッ!〉
マークを小突いたトニィの振動で
僕がシートに置いていた手紙の束が
落ちてしまった。
それをフレッドが拾いつつ
「またファンレター読んでんの? 車の中で、よく読めるね……僕は気持ち悪くなっちゃうよ」
と呆れながら手渡してくれた。
Thank you !
「だって全然、読む時間ないからさ?」
手紙の山を軽く叩くと
マークが覗き込んできた。
「これってファン・レターってより、ラブ・レターだよなぁ?」
「オレなんか凄いの貰ったよ!『トニィ、第二夫人でいいから結婚して♡』って、もうルイスのことバレてるんだ」
「その手紙、ルイスに見せてやれよ⁉︎」
「んな恐ろしいこと、できるかっ!」
また、ふざけだした2人に
笑顔を向けるフレッド。
「スティーブンがね、ボヤいてたよ?『君達に彼女がいないから、ファンレターが多すぎて困る』って。でも彼女がいたってトニィのファン・レターの数は、僕達とそう変わらないのにね⁉︎」
「でも一番多いのは、ヤスだな」
僕の一言に
皆んな笑い出す。
「ヤスのファンレターなんて、日本語のばっかじゃん!」
マークの台詞に
ヤスも大きく頷いた。
「まぁね。しかも『英語ができないので、あなたの大ファンですってジェムに伝えて』とか、そんなのばっか。どれが俺宛なんだか分かんないって感じ」
そうは言っても日本では
やっぱりヤスの人気が凄いんだ。
「そうだヤス、ルイスから伝言」
「えっ⁉︎」
トニィの言葉に
しかめっ面するヤス。
「『LAに着いたら、今度は私がヤスを精一杯おもてなしして差し上げるわ』だってさ!」
「……いや、勘弁してくれ」
ドン引くヤスに、皆んな笑ってる。
でも僕は気掛かりだったことを
思い出して、笑えずにいたんだ。
――ヤス、君は〝彼女〟のこと、吹っ切れているの?
……To be continued
一転して、5章のジェムには試練が――ちょっとハードボイルド⁉︎ マークもちょっとだけ出てきます! 年明けスタートですが、登場予定曲はYouTubeリストを更新済み。引き続き、よろしくお願いします(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾