1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-029 Lost The Way (章末)

「そんな時間あんのか⁉︎ また強引にプロモ入るんじゃねーの?」

「縁起でもないこと言うなよ!」

〈バサッ!〉

マークを小突いたトニィの振動で
僕がシートに置いていた手紙の束が
落ちてしまった。
それをフレッドが拾いつつ

「またファンレター読んでんの? 車の中で、よく読めるね……僕は気持ち悪くなっちゃうよ」

と呆れながら手渡してくれた。
Thank you !

「だって全然、読む時間ないからさ?」

手紙の山を軽く叩くと
マークが覗き込んできた。

「これってファン・レターってより、ラブ・レターだよなぁ?」

「オレなんか凄いの貰ったよ!『トニィ、第二夫人でいいから結婚して♡』って、もうルイスのことバレてるんだ」

「その手紙、ルイスに見せてやれよ⁉︎」

「んな恐ろしいこと、できるかっ!」

また、ふざけだした2人に
笑顔を向けるフレッド。

「スティーブンがね、ボヤいてたよ?『君達に彼女がいないから、ファンレターが多すぎて困る』って。でも彼女がいたってトニィのファン・レターの数は、僕達とそう変わらないのにね⁉︎」

「でも一番多いのは、ヤスだな」
僕の一言に
皆んな笑い出す。

「ヤスのファンレターなんて、日本語のばっかじゃん!」
マークの台詞に
ヤスも大きく頷いた。

「まぁね。しかも『英語ができないので、あなたの大ファンですってジェムに伝えて』とか、そんなのばっか。どれが俺宛なんだか分かんないって感じ」

そうは言っても日本では
やっぱりヤスの人気が凄いんだ。

「そうだヤス、ルイスから伝言」

「えっ⁉︎」

トニィの言葉に
しかめっ面するヤス。

「『LAに着いたら、今度は私がヤスを精一杯おもてなしして差し上げるわ』だってさ!」

「……いや、勘弁してくれ」

ドン引くヤスに、皆んな笑ってる。
でも僕は気掛かりだったことを
思い出して、笑えずにいたんだ。

 

――ヤス、君は〝彼女〟のこと、吹っ切れているの?

 

……To be continued

始めから読む(No.4-001)

 

 4章終了\(^o^)/ ご愛読いただき誠にありがとうございました。遠距離に負けずに愛を育む、トニィとルイスを置いときますね(ラブラブなカップルって癒される♡)この2人はロンドンの曇天より、やっぱりカリフォルニアの青空が似合う♩
 一転して、5章のジェムには試練が――ちょっとハードボイルド⁉︎ マークもちょっとだけ出てきます! 年明けスタートですが、登場予定曲はYouTubeリストを更新済み。引き続き、よろしくお願いします(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾