「泊めるならジェムん家の方が、広くて余ってる部屋あんだろ⁉︎」
そう、ルイスはヤスの家で
世話になることになったんだ。
「だって僕の家は基本フレッドと僕の男2人だけだから、いつ始まっちゃってもおかしくな――痛っ!」
僕の下品な冗談に
トニィの鉄拳が飛んだ。
彼は僕を押し退け
ヤスの両手をガッシリ握ると
大きく上下に振り出した。
「すまないなぁ、ヤス。君の家なら超〜安心さ!」
「あ〜らヤスアキ、私が居たら迷惑かしら?」
ルイスが横目でヤスを見る。
「恭章、何してるの⁉︎ 寒いんだから、早くリビングに上がってもらって?」
奥からユミコの声がして
仕方なくルイスを手招きするヤス。
そんな2人を見て、ほくそ笑んでいたら
フレッドが冷めた目で言い放った。
「ほーんと兄ちゃんって、陰険だよね」
数日後、メンバーは再び
マネージメント・オフィスに集まった。
しかし、スティーブンの表情は固い。
「せっかく来てもらったのに、良い話ではないんだ。君達のデビューが延期になった」
「まさか! 何故ですか⁉︎」
スティーブンは
言いにくそうに話し出した。
「恐れていた事態が起こった。ノーマンレーベルの内部争いを嗅ぎつけた界隈から、圧力が掛かり始めたらしい。どうも内部に、不正が働いているようなんだ」
本社と支社で、いがみ合ってる
場合じゃない事態に追い込まれた
ノーマンレーベルは、
組織の一体化を図ることが
急務となった。
そのため、先に本社が手掛けた
グループのプロモーションに
力を入れることになったそうだ。
「私もレッドも君達を、中途半端に売ることだけは避けたいんだ。君達のデビューはプロモーションに注力できるタイミングを見計らい、戦略を見直す方向で進めることになった」
皆んな落胆の色を隠せなかったけど
ここは一旦落ち着いて
仕切り直そうと頷きあった。
そんなわけで、取り敢えずトニィは
ルイスと一緒にLAに向かい、
そのままクリスマス・ホリデーを
家族と過ごすそうだ。
僕等は2人を見送りに
空港まで来ていた。
そろそろ時間だと、立ち上がるトニィ。
「じゃあ暫く家族の元で、のんびりしてくるよ。何か動きがあったら連絡してくれ」
「皆んな、色々ありがとう。また会いましょうね」
そう言って手を振るルイスは
トニィと一緒に帰れるのが
嬉しそうだ。
で、ルイスのスウェット柄を80sっぽくしてみたけど・・・ピンク大好きルイス、ルックスは良いけどファッションセンスはイマイチって設定も面白いかも⁉︎