1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-020 Lost The Way

僕等は帰る気にもなれず
だからといって
何をできるわけでもなく
その場に、たたずんでいた。

 

そんな重々しい空気の中
とうとうルイスが口を開いた。

「ちょっと、皆んな元気出しなさいよ?」

しかし、彼女に応える者はいない。

「まさか、デビューできないってわけじゃ、ないんでしょう?」

ルイスはトニィの袖を引っ張っるも、
彼は深く考え込んでしまっている。

「……駄目なの? ねえ、どうなの⁉︎」

そんなルイスに
ヤスの堪忍袋の緒が切れた。

「うるせーなっ、少し黙ってろ!」

「あんたの方が、うるさいっつーの!」

僕は溜め息一つ、なだめるよう
ルイスに説明した。

「仮にデビューできたとしても、それだけで成功できるわけじゃないんだ。どんなに実力があっても、レコード会社が親身になってバックアップしてくれなきゃ駄目なんだ、悔しいけど」

フレッドも自分に言い聞かせるように
語気を強めた。

「つまりね、どのくらいお金をかけて宣伝してくれるかってことなんだよ? そのために僕達は、なるべくメジャーなレーベルをって、ノーマンと契約したんだから!」

ヤスも間髪入れず続けた。

「だからって、いいように利用されるつもりはないけどね」

そして、また静まり返る――

 

「あー、もう! こんなんじゃ心配で、LAに帰れないわ」

ルイスの台詞に
ハッと我に返るトニィ。

「そうだルイス、いつ出発だっけ?」

「もう明後日の便よ。でも決めた、帰るのやめる!」

それを聞いて
トニィは慌て出した。

「何言ってるんだよ⁉︎ こっちは平気だから、明後日ちゃんと帰るんだ。大学だってあるし、家族も心配するだろう?」

「大丈夫よ、今からママに電話してくる。一緒に来てトニィ。国際電話の掛け方、教えて?」

「ま、待てよルイス!」

2人が部屋を出て行くと
ヤスが吐き捨てるように呟いた。

「マジうぜー。トニィが何であんなオンナ選んだのか、分かんないね」

フレッドは、そんなヤスの態度に

「僕も君が何でそこまで、ルイスにイラつくのか分かんないよ?」

と呆れている。

始めから読む(No.4-001)

 

 どんなに良い曲を作っても、知ってもらえなきゃ買ってもらえない――昔はラジオ、テレビ、新聞、雑誌が主なプロモーション方法でしたが、80年代になるとMTVの登場でミュージック・ビデオも重要な販促ツールに。まだフィルム撮影だから修正も簡単にいかないし、相当お金と時間が掛かってそうですね( ̄▽ ̄;)