1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-007 Lost The Way

「こんなの落ち着いてられないよ! ジェムがそんな奴だったなんて、がっかりだよ」

そう言われて
僕も黙ってるはずがない。

「お前こそガキなんだよ。自分の理想ばかりで、周りの状況が見えてない。ロバートの、第三者の意見だって、ちゃんと聞くべきだ」

「聞いてるよ⁉︎ 聞いてて気にくわないから言ってるんだ。ハッキリ言わせてもらえば、ロバートの音は僕達には合わないよ。僕は自信あるんだ。僕達の音じゃなければ、売れっこないってね!」

「2人とも、兄弟ゲンカはやめろって! おいヤス、何とかしてくれ?」

トニィが助けを求めるも

「くだらないね」

そう呟くと、ヤスは
スタジオから出て行ってしまった。
頭を掻きむしるトニィ。

「待てよヤス⁉︎ あーもう、これはオレ達の問題なのに――」

とうとうメンバーが
バラバラになってしまった。
こんな時、マークが居てくれたら
彼なら何て言うだろう……

静まり返る室内。
落ち着きを取り戻したフレッドは
深呼吸すると、徐に口を開いた。

「じゃあジェム……改めて聞くよ? 時間やお金は抜きにして考えて。ただ単純に、ロバートのやり方が、このバンドに合っているかどうかだけ聞かせてよ?」

この問いかけに
僕はギクっとなった。

確かに、初めの頃はロバートの
プロのやり方を垣間見れて
舞い上がっていた節もある。
彼のすること全てが新鮮で
興味を持っていた。

だけど今は――

今はフレッドとロバートのやり取りに
ウンザリしていて
2人が何について話しているのかさえ
どうでもよくなっていた。
〝早く完成させたい〟
そのことしか頭に無かった気がする。

「いい質問だな?」

黙ったままの僕の肩を叩いて
トニィが続けた。

「もう気付いたね、ジェム。2人ともそれぞれ重要なことを忘れてるんだ。君は早く完成させたくて、曲のことを考えていない。フレッドは一部だけを見て、ロバートに反発ばかりしている。全体を見てみないと、どういう風に仕上がるか分かんないだろ?」

にっこり微笑むトニィに
後光が差してるように見えた。

始めから読む(No.4-001)

 

ギャラリー用にイラストだけUPしている別サイトで、まさかの直リンクされました!(怒)なので文字被せ気味で〝売り物に見えない〟濃ゆ〜い挿絵を目指しますw