feat. Culture Club
フレッドの方も
かなり気が立っていた。
「ロバートのやることに、疑問を感じないの!? 彼の作る音を気に入ってるの?」
「別に、そういうわけじゃないけど……良い時も悪い時もある、そういうもんだろう」
そう、あっさり答えると
彼は怒鳴ってきたよ。
「僕達のデビューアルバムなんだよ⁉︎ 最高のモノを作りたいって言ったじゃないか! 良くも悪くもあるだなんて、良いモノしか認められない……100%じゃない、200%の力を出すつもりじゃなきゃ駄目なんだよ!」
こうなると、熱血少年には
ウンザリしてくる。
「だけどこれ以上、時間をかけてもしょうがないだろ?」
「時間をかけたって、良いモノを作ろうって気にならないの⁉︎」
「時間がかかるってことは、金もかかるってこと! スティーブンの負担にもなる、現実を考えるんだ」
「時間⁉︎ タイム、Time!〝カルチャー・クラブ〟じゃあるまいし」
吐き捨てるように呟くフレッドに向かい
僕は白々しく歌ってやった。
〜♫ 時間があれば、もっと色々できたはずだった 時間は貴重だって分かっていたのに ♫〜
続きを口ずさむトニィを無視して
フレッドは僕を睨みつけた。
「そう、分かったよ! ジェムは売れればいいんだね⁉︎ ロバートの言う通りにやれば、売れると思ってるんだ? だから彼の音に関しちゃ、全然見えてないんだ」
「なんだって⁉︎」カチンとくる僕。
「ロバートに任せっぱなしで、僕達の持ってる全てが活かせると思ってるの⁉︎ 売れればいいなんて、そんなアルバム、僕は作りたくないよ! 僕達にとって最高のモノ以外、作りたくない。そんなの恥ずかしくて、マークにも聴かせられないよ!」
「フレッド、落ち着けよ?」
さすがにトニィも、心配顔だ。
彼もお縄になったり紆余曲折あったけど、バンドは解散しても今もタレントとして活躍してるみたいで、良かった良かった。
Culture Club - Time(Clock Of The Heart)