1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.4-005 Lost The Way

feat. XTC

「だからロバート! この詩の持つ意味を分かってるって言うなら、どうしてここに、そんな音を入れるの⁉︎」

「分かってないのは、君の方だよフレッド。ここは、もっと早いテンポで左右に振り分けないと、新鮮さが失われるだろう⁉︎ 君の音に対する考えは少々古いようだな。まだ若いのに残念だ」

「あー、また始まった……」

僕もトニィもウンザリしていた。
休日も返上になってしまい
ヘンリー達スタッフも
逃げ出すレベルだよ。
ヤスだけは、2人のバトルを無視して
サッサと次のサックスパートを
進めているけどね。

僕はトニィの隣に座ると
大きな溜め息を吐いた。

「まるで〝XTC〟並じゃないか! 僕等はいつの間に、そんな大御所になったんだ⁉︎」

「ロバートが次世代の〝トッド・ラングレン〟なら、君の弟も〝アンディ・パートリッジ〟のような奇才になるかもな?」

トニィは笑ってるけど
それは勘弁してよ。

「僕も神様に手紙を書きたい心境だよ?『親愛なる神様』先ず、あの2人を何とかしてくれ、ってね」

XTC『Dear God』Released:16 August 1986]

 

「手紙を読んでもらえると、いいけど」
肩を竦めるトニィ。

そこへスタッフが声をかけ
ロバートを連れ出してしまうと
フレッドは不貞腐れた顔で
勢いよく僕等の前にやって来た。

「あーもう、ロバートにはウンザリだよ! 彼は僕達の音楽性を、ちっとも理解してないんだ。僕達の音はあんな……あんな玩具みたいな音じゃない! あれじゃジェムの声の良さまで埋まっちゃうよ? それに何よりも頭にくるのは、マークが作ったベースラインを完全に無視してること! それで良くなるならともかく、あんな――」

「Stop Stop! フレッド、いい加減にしろよ!?」

この時の僕は、正直
愚痴を聞く余裕もなかった。

「ロバートは今まで何人ものアーティストを手がけてきたんだし、事実たくさんのヒット曲を生み出してるじゃないか? 僕等はまだ新人だけど、彼はプロなんだからさ――」

もう何日もスタジオに通っているのに
まだ一曲もまともに仕上がらない状態に
僕は苛立ちをつのらせた。

始めから読む(No.4-001)

 

 XTC 1986年のアルバム『スカイラーキング』プロデューサーのトッドは、気難し屋で自分のイメージ通りに黙々と進めたがるタイプみたいで、ワンマンで神経質だというXTCフロントマンのアンディとの確執は、wikiに載るほど有名な話みたいですね?
「二度と一緒に仕事しない」ってなるぐらい意見の合わない2人が、この『ディア・ゴッド』を炎上回避で、アルバムから外す意見には一致したようでw
 でもアメリカのラジオから火が付きアルバムに追加され、シングルのA面にもなりアルバムも高評価という、何だか皮肉めいた感じがXTCらしいなと思ってます(ノ∀`)
Music Video
XTC - Dear God
 

 

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