1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスを含むバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場!

No.3-002 Believe In

「ライブってさ、何度演っても緊張する。ライブがある日は、ベースに触ってないと落ち着かないんだ。オレ、こう見えてナイーブだから」

ナイーブかどうかは兎も角
案の定だ。

「おーい、マーク! 午後から取材があるって聞いてるだろー?」

客席側から大声を出して
ぶんぶん手を振ると

「うわっ、ジェム!? 今、今出ようと思ってたんだ」

マークは慌てて
ステージを飛び降りた。

僕はスタッフに
「マークを捕まえたと連絡しておいて」
と頼み、待たせていたタクシーに
マークと2人で乗り込んだ。

「あっ、やべぇ! ベース放り出してきた、戻んねーと」

「大丈夫だって。日本のスタッフは優秀だから、ちゃんとしてくれてるよ」

そしてマークの肩を
押さえながら続けた。

「本当は取材が嫌で、サボりたいんだろ⁉︎」

「あっ、バレた⁉︎」

僕等はお互い、顔を見合わせて
ニヤッとした。

後ろの挙動不審な2人の外人を見て
タクシーの運転手が、困った顔してるよ!

 

 

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僕とフレッドとヤスが
セッションするようになって
もうすぐ2年。

16歳になったフレッドは
9月からシックススフォーム[高校]へ。
ヤスは15歳で、既にOレベル
[一般教育終了試験]対策を開始。

そして僕は18歳。
Aレベル試験を無事終えて、卒業。
ステイシーの小言を無視して
音楽系のカレッジ[専門学校]に
進学を決めていた。

そのタイミングで、バイト先の店長が
知り合いのレコーディング・スタジオでの
雑用係的なバイトを、紹介してくれたんだ。

僕がスイーツショップを辞めるのは
惜しんでいたけど
僕の音楽への道を、後押ししてくれた。

なので以前ほど
3人でセッションすることは
少なくなったけど
それでも今日みたいな
陽気のいい日は
スターライト・ルームに集まった。

この2年の間
新しいアンプや機材も揃えて
演奏のバリエーションも
増えていた。

始めから読む(No.3-001)

 

 イギリスの天候の悪さを考えると、路上ライブの現実味がどんなもんか気になるところ。春や秋も日本より断然寒いので、つい夏休み中の話ばかりになってしまいます(^^ゞ