1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場します。時々イメージ・イラストも掲載!

No.1-013 Mollycoddle

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「ジェム! 今のは英国紳士ジェントルマンの口の訊き方じゃないわ。謝りなさい」

こんな風に怒ったメアリーは
初めてだった。

僕はショックで

「メアリーなんか大っ嫌いだ! フランスでも何処でも行っちまえ!」
と吐き捨て、リビングを飛び出した。

程なくして
ステイシーとミスターが帰ってきて
Mrs.ジョーンズが、声を掛けてくれたけど
僕は自室に閉じ籠るしかなかった。

自分でも、いつまでも甘えん坊で
11歳も年下の僕じゃ駄目なことぐらい
理解していた。
ただもう少し、僕だけのメアリーで
いて欲しかったんだ。

隣に住んでいたヤスも
日本に帰ってしまい、
この頃の僕が心許せるのは
彼女だけだった。

学校でも、友達らしい友達はいなかったし
必要なかったんだ。
家に帰ればメアリーが、いてくれたから――

でも、もうメアリーでさえ
信じられなくなってしまった。

 

メアリーは大学を卒業して
安定期に入ると
早々に里帰りを決めた。

彼女は、涙ながらに僕を抱きしめ

「暫くは会えないけれど、元気でね。いつまでも愛してるわ」

そう言い残し、去って行った。

そんな彼女の言葉を、僕が信じると思う? 
気休めはたくさんだった。

この時は一瞬
ダッドとフレッドの所に
行こうかと思ったよ。

だけど

「2人とも僕のことなんか忘れて、幸せに暮らしてるんだ。もしかするとダディも、マムと同じように再婚してるかも」

そう思うと、何もかも嫌になった。

始めから読む(No.1-001)

 

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