「マム、式の時は気丈にしてたけど、部屋に戻った途端に泣き崩れたの、僕見ちゃったんだ。なんとなくその時、マムはダッドのこと、まだ愛してたんじゃないかって思っちゃった……」
そして、フレッドは顔を上げると
真っ直ぐ僕を見据えた。
「ジェムがこんな所に居たから、お葬式に出れなかったなんて、天国にいるダッドが可哀想だよ。ジェムの馬鹿! ずっと此処に居ればいいんだ!」
そう怒鳴ると
駆け出して行ってしまった。
――僕が、ちゃんと家に居たら
ダッドに会えたんだ――
その事実に、愕然となっていると
「なあ少年? 親だって所詮は人間、いい加減なもんだ。期待する方が間違ってるんだ」
いつの間にか、後ろにいたエースが
肩を叩いてきた。
その時、気付いたんだ。彼等が
どういう事情で此処にいるのかなんて
今まで考えたこともなかったと。
エース、スティック、ファズ
彼等の本名さえ知らない。
きっと皆んな、それぞれ事情を
抱えているんだろう。
僕は狼狽し、フレッドにあんな態度を
とったことを後悔した。
ダッドがじっと
僕を見つめているような
そんな気がした。
――強い男になるんだ。
誰も傷つけないくらい強く――
⬆︎ダッドに会えてたら…なジェムの想像!? 彼の中のダッドは、まだ20代の1970年代で記憶が止まってるので、ちょっとロン毛なんですw