僕は小さい頃から
母親を好きではなかった。
例え母親と離れることになっても
父親と一緒にいたかった。
なのに
「ダディは僕を置いていった。ダディは僕ではなく、フレッドを選んだ」
そう思ってしまい、弟のことも
憎らしくなってしまった。
だから、2人に会いに行くことは
一度もなかった。
会えば酷いことを言ってしまいそうで
怖かったんだ。
ステイシーも、2人の居場所を
口にすることはなかった。
◇ ◇ ◇
暫くして、僕の前に女神が現れた。
メアリー・ローラ・シモンズ。
彼女の母はステイシーの姉
つまり従姉なんだ。
メアリーがロンドンの大学に
合格したので
僕の家から通うことになり
彼女はオペア※として、僕の面倒を
見てくれることになった。
※Au Opair:子供の面倒をみたり家事をする変わりに、食事付きで下宿する女子のこと。
メアリーは、今時めずらしく
清楚で可愛らしい印象の女性なんだ。
花柄のワンピースが
とても似合っていたよ。
僕はメアリーと
翌年、お隣に越してきたヤスと一緒に
よくスターライト・ルームへ行って
2人の前でギターを弾くのを楽しんだ。
(ヤスのことは後で話すけど、この頃ヤスはまだ4歳で、はにかみやさんで可愛いかったよ!)