1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.1-012 Mollycoddle

そしてメアリーの婚約者
ローランドが、挨拶にやって来た。

ステイシーとミスターは
まだ、出先から戻ってなかったので
僕が一家の主人あるじとして(!)
憮然とローランドを出迎えた。

彼も大きな体で、見下すように
手を差し伸べてきた。

「君がジェムか……確かに女の子みたいな、カワイ子ちゃんだな」

僕は当然、その手を拒んだ。

「馴れ馴れしく、ジェムって呼ぶな!」

「――性格は可愛気ないな」

彼はフンッと鼻で笑うと
お茶の準備をしているメアリーに向かい
声を上げた。

「何も心配する必要は、無いじゃないか⁉︎ 子供とはいえ男なんだ。いつまでも甘えさせるわけに、いかないだろう?」

彼は僕の頭を、雑に撫でながら
顔を近付けてきた。

「これからは寂しくなったら、ママンに甘えるんだな〝お嬢ちゃん〟」

このローランドの、大人気無い態度は
今では僕等の語り草だ。

彼はメアリーが、いつも僕の話をする上
デートも僕のために切り上げたり
プロポーズした時も、僕を気にかけ
返事を渋ったもんだから
元々僕のことが
気に入らなかったそうだ。

この日、初めて僕のルックスを見て
数年先はどう成長するだろうと
コンプレックスを、刺激されたとか。
(ローランドは無骨なタイプだからね)

今でこそ、僕等はとても親しいけれど
出会いはこんな風に、最悪だったんだ。

話を戻すと

その後も、ローランドは
しつこく悪態をついてきたので
頭にきて、彼の脛を
思い切り蹴飛ばしてやった。

「お前なんかにメアリーは渡さない! お前みたいな下品な奴が、メアリーの夫なんて認めない! 純情なメアリーをたぶらかしやがって、このフロッギー!
※カエル野郎:フランス人の蔑称

次の瞬間、メアリーの手が
僕の頬を叩いた。

始めから読む(No.1-001)

 

 フランス人がカエル野郎と言われるのは、蛙を食べるかららしいです。イギリス人はライム野郎、ドイツ人はキャベツ野郎、イタリア人はマカロニ野郎と、食べ物系なんですね。ちょっと面白いw