どうしようもない感情だけが
一気に込み上げてきた。
フレッドはピックを弦に挟むと
もの凄く悲しそうに、僕を見つめた。
「うるせーゾお前ら、出てけ!」
エースに怒鳴られ、僕等は外に出ると
フレッドは泣き出しそうな声で
話し出した。
「ダッドはギターを弾くと、いつもジェムの話をしてた。マムの所に残してきたことも、気にかけてたよ」
「嘘だね! だったら何でダッドは、お前だけ連れてったんだよ⁉︎」
それは僕の心の中に
ずっと燻っていた、わだかまり。
憤る僕を見て、フレッドは
小さく溜め息を吐いた。
「マムもダッドもまだ若くて、僕達一緒には育てられなかったって。幼い僕より年上の方が育てやすいからって、マムがジェムを選んだんだ。きっとダッドは、僕よりジェムを連れて行きたかったと思うよ……」
力無い笑顔を向けるフレッドに
肩を竦めて見せた。
「本当に気にかけてたら『元気か?』って連絡の一つも、寄越すもんだろ⁉︎ なのにダッドは病気になっても、連絡くれなかったじゃないか!」
するとフレッドは、僕を睨み
語気を強めた。
「だってジェムは、ずっと家に居なかったんでしょ⁉︎ マムはちゃんと、お見舞いに来てくれたよ! お葬式だって、マムとギルは出てくれたのにジェムは――」
「ステイシーが⁉︎」
「そうだよ? キャサリンが連絡したら、直ぐに来てくれたよ」
僕は耳を疑った。
息子は義父に懐かず実父が大好きだと知っていて、家出しても時たま帰って来ることも分かっていたのに、何も知らせなかったマム。その理由は最後の最後、10章で明かされます!
……なんてホントは、書き始めのこの段階では特に考えてなかったのに、最後に上手い事まとまったというw
……なんてホントは、書き始めのこの段階では特に考えてなかったのに、最後に上手い事まとまったというw