1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.5-009 Don't Be Scared

feat. Tears for Fears

「動くな! 全員止まれ!」

心配したジョージが、警官を連れて
様子を見に来てくれたんだ。

男は裏口から逃げ去り
僕はヤスが伸ばした手を掴むと
必死に叫んだ。

「病院に早く! フレッドが――」

◇ ◇ ◇

それから1時間、
僕は取調室でイラつきを
抑えられずにいた。

「だから、何度説明すれば分かるんですか⁉︎」

「あれはジェムの物じゃない。あの場に落ちてたのを拾っただけだ!」

ヤスの必死の説明も
真面目なロンドンのお巡りさんは
聞いてくれなかった。

あのとき拾ったドラッグの
小袋を持っていたせいで、
疑いをかけられてしまったんだ。

もちろん、僕がドラッグを
やっていないことは
検査で直ぐに証明された。

だけどセント・ブライアンズは
ドラッグの闇取引をしていた場所に
成り下がっていたんだ。

あの場にいたドラッグ中毒者は
検挙されたらしいけど
逃げた男は捕まらず、
僕はドラッグの売人ではないと
証明されるまで
被疑者として勾留されることに
なってしまったんだ。

ドラッグは常習者よりも
売人の方が罪は重い。
こんなこと、とても信じられないよ!

駆け付けてくれたトニィも
憤怒している。

「クソっ! オレが一緒だったら奴を取っ捕まえて、警官コップに突き出してやったのに!」

「俺があの時、あんな物を拾わなければ――」

「気にするなヤス。あんな物を持ったままの僕が迂闊だったんだ。でも無実なんだから、直ぐ証明されるはずだよ。それよりフレッドは? 腕の怪我は……?」

ジョージに付き添われて
病院に行ったフレッドは、
僕のお下がりのレザーコートを
着ていたお陰で、幸いにも
大事には至らなかったようだ。

それを知って安堵すると
冷たく暗い部屋へ、連れて行かれた。

◇ ◇ ◇

 

 〜 叫べ、叫べ、全てをぶちまけろ それは無くても困らないものばかりだ さあ、オレはお前に言ってるんだ さあ!

Tears for Fears『Shout』Released:19 November 1984
 

 

「なに呑気に歌ってるの ‼︎」

翌日、ステイシーとミスターが
弁護士と共にやって来た。
ステイシーは相当おかんむりだ。

「まったくお前って子は! ドラッグに手を出すなんて、バカな真似をしてくれて!」

始めから読む(No.5-001)

 

 ティアーズ・フォー・フィアーズのご登場\(^o^)/ 『シャウト』『ルール・ザ・ワールド』(1985) と立て続けにヒットを飛ばして期待の大型新人かと思ってたけど、既にセカンドアルバムからのシングルでした!
『シャウト』はメンバーの2人が体験した、プライマル・セラピーという「幼少期のトラウマや抑圧された感情を解放するため、叫んだり泣いたりする心理療法」に着想を得たとか。
 ジェムも折り合いの悪い母と義父の登場で、叫びたい心境かなと・・・
 

 

その他のアーティストも登場!