1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

ぐるぐる回るのは

物語に入れられなかった
アーティスト・楽曲シリーズ〔第2弾〕

 

1980年代のUK音楽といえば

エレクトリカルなダンスサウンド

イメージする人も多いかと

 

いわゆる「ユーロビート」ですね

 

その先駆けとして思い浮かべるのは

1984年にリリースされた

Dead or Alive

『You Spin Me Round (Like A Record)』

けっこう迫力ある

男前な歌声のイメージを覆す

美しい顔立ちのピート・バーンズ

(あの頃は、美しい男性が多かった印象)

 

その美しさがアダとなったのか

彼は整形を繰り返したようで

晩年の姿に

あの頃の面影は無く……

 

きっと彼の中で

ぐるぐる試行錯誤しながら

理想の自分の姿を

追い求めていたのでしょうね

 

Music Video
Dead Or Alive - You Spin Me Round (Like a Record)

 

その他のアーティストも登場!

2人の水玉

物語に入れられなかった
アーティスト・楽曲シリーズ〔第1弾〕

 

物語を書いている時に

「この曲を入れたい」

「あのアーティストの名前を出したい」と

次々と浮かんできました

 

なので

けっこう強引な展開だったり

ミュージカルか!? って言うくらい

キャラに無理やり歌わせたりして

登場させてますw

 

それでも

思い入れが深いのに

どこにも入れられなかったのが――

 

Strawberry Switchblade

 

ふわふわロングヘアに

レースの花飾りと、リボンを付けて

白地に黒の水玉模様のドレスで

可愛らしい声で歌う

茶髪のジルと、黒髪ローズの2人組

 

一見キュートな感じなのに

真っ黒な囲みアイラインと

真っ赤な口紅の

ゴシック・ビューティーメイクが

子供心には、ちょっと怖い印象も!?

 

でも、友達と2人でよく

『ふたりのイエスタデイ』
(Since Yesterday)を

おぼつかない英語で

得意気に歌っていたのは

遠い昔の

ほっこりする想い出なのです

 

その他のアーティストも登場!

Music Video
Strawberry Switchblade - Since Yesterday

No.1-026 Mollycoddle (章末)

「まあ直ぐには無理だけど、ステイシーのことは、受け入れるよう努力するよ」

そう言うと、フレッドは
嬉しそうに頷いた。

 

――強い男になるんだ。
  誰も傷つけないくらい強く――

 

ダッドの残した言葉が
強く心に響いていた。

 

 

★      ★      ★

 

 

「ほら、寝ぼけてないでジェム⁉︎ 皆んな帰ってきたよ。パーティーは、終わったみたいだね」
フレッドの声で、意識が戻る。

「よっ、ご兄弟! 2人とも抜け出してたなんてズルいぞ!」

ドアからマーク、ヤス、トニィの3人が
顔を出していた。
ボヤけていた視界も、現実に戻る。

でも、まだ酔っ払いモードの僕に
フレッドがせっついた。

「ヤスが帰ってきたから、自分の部屋に戻んなよ?」

「え~独りにするなよ、寂しいよ~」

フレッドの背中に抱きつき
頬ずりする僕を見て〈おおーっ!〉と
皆んなが、赤い顔でどよめいた。

「俺は別に構わないけど。ジェムの部屋で寝るから」

そう言って
自分の荷物を持ち出すヤスに
慌てるフレッド。

マーク、ヤス、トニィは
「兄ちゃんの頼みは断っちゃいかんよ?」
「じゃ、おやすみ!」
「ジェム、頑張れよ~」と
それぞれ手を振り、部屋を後にした。

「な、何を頑張るんだよ⁉︎ 皆んなの裏切り者~!」

叫ぶフレッドに構わず
引っ付く僕。

「つれないなぁ、たった2人の兄弟じゃないか?」

「もう離してよ、自分のベッドに戻るんだから」

そう言われても構わず
彼の腰に手を回して抱きしめた。

「照れちゃって可愛いねぇ、う~ん……愛してるよ……

「ううっ⁉︎ い、いい加減にしろ~‼︎

8年間のブランクがあったせいか
フレッドとは、兄弟というより
親友って感じだ。

僕はこの、とっても素直で
揶揄いがいのある弟が、大好きなんだ!

◇ ◇ ◇

翌朝、目が覚めると
左の頬が赤くなっていた。

「あれ、何だコレ⁉︎
鏡の前で、考え込む僕。

「あのジェムの顔、何があったんだフレッド⁉︎

「僕は悪くないんだヤス! だってジェムが、その……

「何々フレッド君? マーク兄さんに教えなさい!?」

「おい、何だってマーク? えっ、マジで⁉︎

「トニィ、俺にも教えろよ。えっ、キス? マウス・トゥ・マウスで⁉︎

3人とも、ゲラゲラ笑い出す。

「……もう、皆んなして何なんだよ⁉︎ それより昨日はシングル・ルームのはずだったのに、何でこっちのベッドで寝てたわけ? せっかく一人で快適な部屋だったのに、なんで~⁉︎

むくれる僕に、フレッドは
プイッと顔を背けた。

「知らない! ジェムはもう、お酒禁止!」

どうやら僕は
何かやらかしたみたいだ。

……To be continued

始めから読む(No.1-001)

 

 1章終了\(^o^)/ ご愛読いただき、誠にありがとうございました。2章は中学生になったヤスがロンドンに戻ってきます。幼馴染との感動の再会? 中学生男子、そんなカワイイわけないw

 

f:id:usagiara:20220325223342p:plain

f:id:usagiara:20220325223350p:plain

No.1-025 Mollycoddle

フレッドの話を遮って
家より少し手前のバス停で降りた。

僕等は黙って歩き、着いた所は
懐かしいスターライト・ルームだ。

「鍵、持ってないよ?」困惑するフレッド。

僕は入り口から少し外れた先の
茂みに手を掛け、木の枝を伝い
柵を越えてガーデンの中に入ると
彼を手招いた。

久し振りに訪れた
スターライト・ルームの中で
記憶をたどるように、たたずむフレッド。

「そうしてると、やっぱりダッドに似ている」
僕も遠い記憶が、よみがえってきた。

フレッドは振り向くと
ゆっくり口を開いた。

「ダッドは、また此処に帰りたいって言ってたよ。なのに、二度と帰れない場所へ行っちゃうなんてね……

肩を震わせる彼の背中に
そっと手を添えた。

フレッドは、この時まだ13歳。
彼は幼い瞳で、どれだけのことを
見てきたんだろう。
僕の知らない、どれだけのことを――

そう思うと、これからは僕が
ダッドの代わりに君を守らなくちゃと
フレッドの背中を元気良く叩いた。

「さっ、家に帰ろう⁉︎ お腹空いちゃったよ」

「じゃあ、お茶の用意をするよ」

そう言ってフレッドは
笑顔を見せた。

 

家に帰ってきた僕に
ステイシーは何も言わなかった。

彼女はまるで
僕がずっと家で暮らしていたみたいに
変わりなく接してくれた。

それは彼女の、母親としての
心遣いだったのかもしれない。

始めから読む(No.1-001)

 

 マムはジェムが心配じゃなかった? 例えばだけど、玄関で靴がキチンと揃えられていたら「大丈夫そう」って思える、そんな感じかと。お坊ちゃん、悪になりきれないw
 家政婦さんも、財布(現金)じゃなくカード使用だと思うので、マムはわざとお金を置いていたのかも⁉︎ まぁ、いざとなったら金の力で何とかできる、お金持ち設定は最強!

No.1-024 Mollycoddle

……悪かったよ。ちゃんと家に帰る」
と両手を挙げてみせた。

そうなんだ、フレッドのお陰で僕は
この泥沼から抜け出せたんだ!

するとフレッドは、少し照れながら
握手を求めてきた。

「改めてよろしく。ええっとジェームス・サミュエル・スミス?」

「いや、ジェームス〝スチュアート〟スミスだよ」
彼の手を、強く握り答えた。

「ミドルネーム、スチュアートなんだ⁉︎」

「そう、スチュアートを残したかったんだ。君は?」

「僕はそのまま、フレデリックアラン・スミスだよ。僕は、このままでいいんだ」

彼はダッドと同じミドルネームに
満足しているようだ。

僕等は家に向かう
ダブルデッカーに乗ると
フレッドが、不意に訊いてきた。

「ねえ、ジェムのミドルネームだった〝サミュエル〟の由来、知ってる?」

そんなこと
気にしたことも無かった。

「サミュエルは、グランダッド[祖父]のファーストネームなんだよ。実はね、グランダッドも亡くなったんだ。ダッドが亡くなる、ほんの1ヶ月前に……

僕はとうとう
一度も祖父に会うことは
できなかった。

フレッドは思い出すように
話し出した。

「ダッドとグランダッドは、わだかまりを残したまま逝ってしまった。グランダッドは意識が薄れゆく中、僕をダッドだと思って、ずっと謝り続けていたよ」

そういえば
ダッドはグランダッドに勘当されたって
だいぶ昔に、キャサリンから
聞いた覚えがあった。

「詳しい事情なんて、僕には分かんないよ。でも、こんなの悲しすぎるよ。生きている間じゃなきゃ駄目なんだ。死んでからじゃ遅いんだよ。だからジェム、マムのこと――」

「降りまーす!」

始めから読む(No.1-001)

 

No.1-023 Mollycoddle

「あの坊や、すっ飛んで行っちまったけど大丈夫かね?」
エースがボソッと呟いた。

「あっ!」

僕は慌てて、走り出した。

彼はロンドンの町に、まだ
慣れてないはず。道に迷っていたら……

いや、それより心配なのは
ブランドマークが付いた
ポロシャツを着た彼が、この通りを
無事に抜け出せるかどうか?

金を捕られるならまだしも
腕の1本や2本
折られることも、まれじゃない! 
下手すりゃ一生
病院行きの奴もいるらしい――

考えただけで、ゾッとした。
今まで自分は平然と
こんな所で、暮らしていたなんて!

 

〝フレッド、どうか無事で〟

 

一心にそう願い、走り回った。

そして大通りに出ると
ダブルデッカーを待っているフレッドが
そこに居た。

僕は安心して気が抜けたのか
それとも、久し振りに走ったせいか
膝の力が抜け
その場に座り込んでしまった。

「ジェム、どうしたの⁉︎
フレッドが、慌てて駆け寄って来た。

……良く無事で、あの通りを抜け出せたな?」

息を切らせている僕に触れた
彼の手の甲には
軽い擦り傷があった。

驚く僕に、気付くフレッド。

「ああこれ? 大したことないよ。変なお兄さんが道を通してくれないから、ちょっと避けただけ。大丈夫、走って逃げたから!」

そして、僕の顔を覗き込んだ。

「――心配してくれたの、兄ちゃん?」

僕は大きな溜め息を吐いた。

考えてみれば、彼は幼い頃から
父親と2人暮らしで
なにかと苦労もあったに違いない。

それを微塵も感じさせない
弟の笑顔を見て
とても恥ずかしくなった。

始めから読む(No.1-001)

 

 フレッドが父親と過ごしていた8年間の物語は、7章に執筆しました。弟は父親と2人暮らしでも、グレなかったみたい(´∀`)

No.1-022 Mollycoddle

「マム、式の時は気丈にしてたけど、部屋に戻った途端に泣き崩れたの、僕見ちゃったんだ。なんとなくその時、マムはダッドのこと、まだ愛してたんじゃないかって思っちゃった……」

そして、フレッドは顔を上げると
真っ直ぐ僕を見据えた。

「ジェムがこんな所に居たから、お葬式に出れなかったなんて、天国にいるダッドが可哀想だよ。ジェムの馬鹿! ずっと此処に居ればいいんだ!」

そう怒鳴ると
駆け出して行ってしまった。

 

――僕が、ちゃんと家に居たら
ダッドに会えたんだ――

 

その事実に、愕然となっていると

「なあ少年? 親だって所詮は人間、いい加減なもんだ。期待する方が間違ってるんだ」

いつの間にか、後ろにいたエースが
肩を叩いてきた。

その時、気付いたんだ。彼等が
どういう事情で此処にいるのかなんて
今まで考えたこともなかったと。

エース、スティック、ファズ
彼等の本名さえ知らない。
きっと皆んな、それぞれ事情を
抱えているんだろう。

僕は狼狽し、フレッドにあんな態度を
とったことを後悔した。
ダッドがじっと
僕を見つめているような
そんな気がした。



――強い男になるんだ。
  誰も傷つけないくらい強く――

 

⬆︎ダッドに会えてたら…なジェムの想像!? 彼の中のダッドは、まだ20代の1970年代で記憶が止まってるので、ちょっとロン毛なんですw

No.1-021 Mollycoddle

どうしようもない感情だけが
一気に込み上げてきた。

フレッドはピックを弦に挟むと
もの凄く悲しそうに、僕を見つめた。

「うるせーゾお前ら、出てけ!」

エースに怒鳴られ、僕等は外に出ると
フレッドは泣き出しそうな声で
話し出した。

「ダッドはギターを弾くと、いつもジェムの話をしてた。マムの所に残してきたことも、気にかけてたよ」

「嘘だね! だったら何でダッドは、お前だけ連れてったんだよ⁉︎

それは僕の心の中に
ずっと燻っていた、わだかまり

憤る僕を見て、フレッドは
小さく溜め息を吐いた。

「マムもダッドもまだ若くて、僕達一緒には育てられなかったって。幼い僕より年上の方が育てやすいからって、マムがジェムを選んだんだ。きっとダッドは、僕よりジェムを連れて行きたかったと思うよ……」

力無い笑顔を向けるフレッドに
肩を竦めて見せた。

「本当に気にかけてたら『元気か?』って連絡の一つも、寄越すもんだろ⁉︎ なのにダッドは病気になっても、連絡くれなかったじゃないか!」

するとフレッドは、僕を睨み
語気を強めた。

「だってジェムは、ずっと家に居なかったんでしょ⁉︎ マムはちゃんと、お見舞いに来てくれたよ! お葬式だって、マムとギルは出てくれたのにジェムは――」

「ステイシーが⁉︎」

「そうだよ? キャサリンが連絡したら、直ぐに来てくれたよ」

僕は耳を疑った。

始めから読む(No.1-001)

 

 息子は義父に懐かず実父が大好きだと知っていて、家出しても時たま帰って来ることも分かっていたのに、何も知らせなかったマム。その理由は最後の最後、10章で明かされます!
 ……なんてホントは、書き始めのこの段階では特に考えてなかったのに、最後に上手い事まとまったというw