1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.6-004 Blue Dreaming

ケイトが鼻歌を歌いながら
手慣れた様子で料理をしてる間に
僕は身なりを整え
ダイニングに降りてくると、
まるでレストランのように
色鮮やかなパスタとサラダが
用意されていた。

そして、美味しくランチをしながら
ケイトの話に耳を傾けた。

サラサラしたブラウンのロングヘア。
瞳はミスターと同じグレーだけど
彼には、さほど似ていないと思う。
(良かった!)
声の感じが少しだけ
メアリーに似てるかな……

◇ ◇ ◇

「私ね、ブライトンに程近い、祖父母の家に預けられてたの」

祖父母はミスターの両親ではなく
母方の方だという。

「小さい頃から絵を描くのが好きで勉強はそっちのけだったから、16歳になるとギルがチューター[家庭教師]を頼んだのね。それが大学生だった彼、アシュリーとの出会い」

一人っ子の少女が
知的で、優しく話を聞いてくれる
年上の男性に恋するのは
自然なことだった。
アシュリーの方も、素直で明るい
彼女に惹かれたのだろう。

「彼は就職したロンドンの職場が合わなくて、今はこっちでバイトしながら夢だった小説家を目指してるの。私もイラストレーターになりたくて、お互い夢に向かって励ましあってきたわ」

ケイトはブライトンにある
制作事務所と縁ができ、
シックススフォームを卒業すると
仕事をもらえるようになったそうだ。

ブライトンは海辺のリゾート地で
観光客向けのパンフレットや
他に子供向けカット描き等の依頼が
次々と入ってくるという。

すると次第に生活が不規則になり
高齢の祖父母に迷惑をかけたくないと
ブライトンに住むことを決め、
アシュリーとのルームシェア
当然、父ギルバートの逆鱗に触れた。

「大学にも行かず男と暮らすなんて! って、私は勘当の身ってわけ。でも私のこと祖父母に任せっ切りで、アシュリーも名前だけで女子大生だと思い込んだクセに彼に会おうともせず、今さら大騒ぎで父親面されてもね⁉︎」

※男女ともに用いられるユニセックスな人名

 

そりゃ定職に就いてない男とじゃね?
初めてミスターに同意するよと
肩を竦める僕に、ケイトは
ふくれっ面を見せた。

「でも彼、家事は完璧なのよ? さっきのパスタも彼のレシピだし、締め切り前は徹夜になる私をサポートしてくれて、凄く助かってるんだから!」

「アシュリーって奴は、随分と愛されてるんだなぁ」

やっかみ半分、表情をうかがうと
彼女は顔を曇らせた。

「でもね、喧嘩しちゃった……せっかく私の誕生日を、お祝いしてたのにね」

彼女は一つ下だから
19歳になったばかりか。

「だって彼、ちっとも小説を書こうとしないの! なかなか認められないから、くすぶる気持ちは分かるけど――」

始めから読む(No.6-001)

 

⬆︎前回予告した、ケイトさんのアー写を元に描いたケイトです。ケイトさん(うちのケイトとは髪と目の色が違う、多分)あらためて見ても可愛い美人さん♡ しかし写真を見ちゃうと、引きずられて絵柄が・・・次描いたら顔、変わってそう (汗)
 ケイトの住んでいるブライトンって、最近はサッカー・プレミアリーグで有名みたいですね? ジェムの印象は No.6-015で、ブライトンに所縁のある大御所バンドと共にご紹介します!